05
いつもの教室。
いつもの風景。
眠りを誘発する、教科担任の成ってない発音の英語。
何も変わらないはずの日常の一コマが今、非常に落ち着かないモノと化しているのは……
「なぁ。何で半分の奴等が寝てんの?」
『少し黙ってて下さいっ』
朝からずっと、私の隣を陣取る死神が居るからだ。
……気になってしょうがないっ
授業参観かっ!
今朝――…
目覚めれば目の前に、いつもは夕方以降にしか顔を出さないこの人が、キラキラと眩しい朝日を背に私を覗き込んで微笑んでいた。
何故だか私に腕枕とか言うモノをして……。
『はよ』
『っっ――――…っ』
一気に覚醒はしたは良いものの声も出ず、状況も何も呑み込めないまま放心する私に、起きねぇのと優しく言って前髪を梳いたりなんかするから性質が悪い。
『…………え―…っと』
いつの間に……って言うか、朝から一体何をしていらっしゃるのかと訊いても良いだろうか……の前に色々、突っ込み処が満載で軽く脱力レベルだ。
『え―…、正かとは思いますが』
『その正かだ』
やっぱり。
何となく予想は付いていたものの、一応と疑問を口に仕掛けた私を遮って、ヤケにイイ笑顔で宣うこの人に目眩がした。
『俺も学校に行く』
『いや、行くってそんなの無理……』
『早く準備しろ』
『人の話を聞こうよ……』
この、人は……
ここまで来たらある意味長所ですよねと渇いた笑みが溢れた。
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