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  22


『、……何だよ』

「っ……」


今忙しいんだっつのと、あの人の声が聴こえた瞬間、ギュッと瞳を閉じていた。


「忙しいって先輩、今日非番じゃねぇっすか」


何処に居るんすか、
お前に関係無ぇだろ。
女っすか?
お前ぇな……


そんな話なんか聴きたく無いと思うのに、声を聴いていたくて、まだ切らないでと思う自分に呆れもする。


『ンな下らねぇ話なら切るぞ』

「うわ、気ぃ短ぇ」

『……じゃあなっ』

「あ―っと、だからちょっと待って下さいって!」

『だから何だよっ!』


もう、切れてしまう……


「今、現世に居るんすけど」

『っ……』

「伝言、す……」


息を呑むあの人の気配に、これで最後だと目の前の死覇装を握り締めて顔を埋めた。




「……泣いてますよ」


…………は?


「ちょっ、待っ…」

「会いたいっつって……」

「そんな事言ってないし泣いてないっ!」

「うわっ 煩せっ!」


行き成り何を言うかと、阿散井さんの言葉を遮った。


「そんな事……」

「言ったろ」

「思ったけど言ってない!」

「だからお前、耳元で叫ぶなよっ!」


って、煩いのはそっちですっ!


それに、好きでここに居る訳じゃない。


「だったら、この腕を放して下さいっ」

「何で」

「こんな阿散井さんの膝の上で密着してたら、煩いに決まってるじゃないですかっ」


文句が有るなら放して下さいっ


「放したら逃げんだろーが」

「そんなの当たり前って、ちょっ…、耳元で話さないで下さ……、嫌、何っ?止め……っ」


今度は急に、耳元に携帯みたいなのを押し付けるのは止めて、下さ……


『阿散井、手前ぇ……』

「っ………」


それは低い、低い。
あの人の……


「……何すか」

『ソイツに何かしたらぶっ殺す、』

「…………」


途切れた通話。

ツ―――… と鳴り響く機械音。


もう、泣きそうだ……


「どうしてあの人はいつも怒ってばかりなんですか……」

「解んねぇお前がある意味凄ぇよ……」


茫然とする私の呟きに、阿散井さんが本当に失礼な事ばかりを言うからムッとなる。


ヤベぇ、あれは多分直ぐ来るぞってそんなの、誰のせいですか誰のっ


「っあ―…、とりあえず。先輩が来たら、確り俺の無実を証明しろよ」


まだ死にたくねぇって知りません。

何だか良く解らないけれど、蒼褪めながら言う阿散井さんは無視をして、絶対に目の前で抱き着いてやろうと心に決めた。






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