19
あれから2週間以上が過ぎて、ほぼ3日と空いた事の無かったあの人の襲来も無くなった。
代わりに、この人も死神だったか……
「代行だっつのっ」
黒崎君と阿散井さんの頻度が増した。
「今日はどうしたの?教室まで来るなんて珍しいね」
最初の頃は別として、黒崎君が教室にまで来た事なんてずっと無かった。
ここは目立つから場所を変えても良いかと言う黒崎君に付いて歩きながらそう問えば、アンタんトコに来るとヤケに敵視されんだよと憮然とした顔をされるから、何だそれと苦笑した。
「それに必要以上にアンタに近付くと煩っせぇ人が居……」
「…………」
「あのな、っ、いや……」
こうして、二人はいつも何か言いたそうにしては口を閉ざす。
それは直ぐに表情に出てしまう、いつまでも子供染みた態度しか取れない私のせいなんだと解っているけれど……。
だから、ガキだって言われるんだって……
それでも、今はまだ何も聞きたくなんか無かった。
『先輩……』
『………はい』
『元気無ぇんだよ……』何を訊いても何も言わねぇしと、阿散井さんもそんな風に言っては顔を歪ませたけれど……。
『私とは関係無……』
『本当にそう思うか』
本気で関係無ぇって、思ってるか……良く良く考え無くたって、この短い時間に有った事こそが非現実的なモノなんだと容易に知れる。
普通に生きていれば彼らの存在に気付く事もない、こうして時が重なる事の方が奇跡に近いモノだったんだと。
だったら、もうこのまま無かった事にした方が良いんじゃないだろうか。
今、この胸に渦巻く、理解不能な感情こそが存在するはずの無い、幻なんだと……。
「
『なぁ」
』「……何?」
分かれ際、不意に立ち止まった黒崎君が言葉を撰ぶように私に問う。
「あの先を、知りてぇか?」
「…………」
『この先を、知りてぇか……?』「本当に、」
『お前、先輩の名前、知ってるか……』このままで良いのか……
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