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   14


1、2、3…… 5、と指折り数えて動きを止めた。

エイリアンの襲撃の無いこの1週間は本当に平和だったと思いながら、のんびりと温めのお湯に浸かって1週間の疲れを癒す。


何を気にするでも無い。
訳の解らない感情に振り回される事の無い毎日は気が楽だ。


何だかもう、ずっとあの人に振り回されっ放しのような……って、違うからっ


ぶくぶくとお湯に沈みながら、結局、考えてしまっている顔を追いやるように瞳を閉じた。







「…………」


ガチャ と居間へと続く扉を開いて、徐に閉じた。


「何か……、居た」


フローリングの上に、黒い物体が転がって居て心臓が止まるかと思った。


そろ――…と再び開いた扉の向こうには、この1週間、姿を見る事の無かった死神が、まるで力尽きたように行き倒れて居るのが見えた。

何事かと足音を忍ばせて近寄れば、深い寝息を立てて居るのが判って息を吐く。


「何で居る……」


無防備なのはどっちだと言ってやりたくなる。


副隊長とも在ろう人が、私の気配も気にせず寝転けて居るとか……


疲れて居るなら来なきゃ良いのにと、呆れた息を吐き出して立ち上がった。



「風邪って引くのかな」


傍に腰を下ろして寝室から持って来たタオルケットを掛けて寝顔を眺める。

黙ってれば完璧なのにと苦笑して、そっと手を伸ばしていた。

無防備に晒された寝顔に触れたいと思って、触れる瞬間、躊躇って止める。

触れたら、起きてしまう気がした。





「……おやすみなさ―――…っっ!!」


起こすのは厭だと離れようとした瞬間、ヌッと伸びて来た腕に捕らえられて悲鳴を押し殺した。

両手で口を押さえながら、ちょっと何なの、驚かせんなと、声にならない声で悪態を吐く。

そのまま唖然と見詰めて居れば、寝惚けて居るのかそうじゃないのか、


「膝、貸せ……」


はっきりとした声音が耳に届いて、意思を持って辿る腕にゾワリと全身が戦慄いた。


「膝どころじゃないじゃん……」


抱き締めるように私を捕らえたこの人が満足気に微笑って、また眠りに堕ちて行くのを、息をするのも忘れて見詰めてしまう。


寝ててくれて良かった……


間違いなく紅くなっているだろう頬を手の甲で隠しながら思う。


まだ心臓が煩い。


捕らえられた部分が熱くて、躯中を侵食されて行くようだった……。





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