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確かここは間違いなく日本と言う国で、決して南極なんかでは無いはずで。
真夏だって言うのに絶対零度にまで下がった冷気を感じるのは何故だろう……。
「いや、あのですね」
見たって言っても全裸じゃないよ。
学校から帰って制服のブラウスを脱いで、Tシャツを探してたところだったって何度も言ってるのに、何でこの人がこんなに怒るんだ。
お前ぇは無防備過ぎるだの、警戒心って言葉を知らねぇのかとガミガミガミガミ……
無防備が当たり前の自分の部屋で、壁を物ともしないアンタら相手にどう警戒しろとっ?
「死神に説教されるって……」
「何か言ったか」
「いえ別に」
話はあっちに帰ってからなと、凄くイイ笑顔で追い出された阿散井さんは、直立してガクガク頷いてましたけど、そんなに上下関係厳しいんですかっ!体育会系な組織なんですかっ!
高が私の半裸くらいでと、ちょっと可哀想にもなって来た。
「あの……」
「何だよっ」
何でそんなに睨むかなっ
本当に怖いんですけど!
「いや、えっとですね……」
だからそんなに怒らないであげて下さいねと言えば、何でだよと憮然と返された。
何でって、阿散井さんに悪気は無いし、私なんかの細やかな躯を見たからってそんな、言ってて若干の虚しさを感じるけれど、寧ろ阿散井さんが被害者に近い気もしないでもない。
「減らない、し……?」
「お前……」
「っ………」
は―――… っと深い溜め息と共に頭を垂れた死神に、躯を震わせる程の低音と上目遣いで捉えられて息を呑む。
今、この人の何かがキレる音が聴こえた気がした……。
怖い――…
その鋭くなった、初めて見る眼光が怖いと思った……。
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