放課後の代表会議に、もう直ぐ議題が始まるっつーのに姿を見せない四宮が気になって、何をしてやがると探しに戻った。
「四宮見なかったか」
途中すれ違った一組の奴等に問えば直ぐに所在を知らされた。
「四宮ならさっき……」
「おいっ」
「……何処だよ」
「いや、知らねぇけど……」
さっき呼び出されてたから多分空き教室じゃね、と指差された方向に其れと同時に駆け出す。
相変わらずの矛盾。分かったと礼を伝えて駆け出す自分は、手前ぇから距離を取るくせにかともう溜め息も出ねぇ。けれど辿った先の霊圧の傍には見知らぬ霊圧が一つ。沸き上がった想いは怒りに近かった。
「だから俺と付き合ってよ」
駆け付けた霊圧の在処、誰も居なくなった教室で、行く手を阻むように立つソイツを前に、困ったような表情をした四宮が立っていた。
ごめんなさいと言えば、友達からでも食い下がられて口籠ってしまう四宮に、そんなものはさっさと断ってしまえと苛立ちが増す。
「四宮!」
「檜佐木……」
「……会議だろ」
だから気付けば、二人の会話を制止するように声を掛けていた。俺を見るなり、慌てて退室して行ったソイツは知らねぇ。
ただ少しだけ罰が悪そうに笑った四宮に、お前は俺のだろうと、また理不尽な苛々が増しただけだ。
「ごめんね。行こうか」
「……何で付き合ってるって言わねぇの」
「檜佐木……?」
俺は……
もうずっと続いていた、此の訳の分からねぇ感情の答が知りたかった。
四宮を好きだと言った、何処の誰かも分からねぇ野郎に沸き上がった殺意にも似た感情の答を知りたいと……
「っ、檜佐木っ?」
衝動か確信か。思うより速く目の前の躯を引き寄せて、押し倒していた。
自分を無言のまま見下ろす、俺の不穏な空気を感じ取ってか、四宮はちょっと待ってと少し焦った様子で肩を押す。其れが腹立たしくて、両の手を纏めて床に縫い付けた。
「檜佐木……?」
どうして……と、俺を好きだと言ったはずの四宮の不安気な瞳が気に入らない。
「待……、って。檜佐木、ねぇ……」
「……ちょっと黙れ」
「っ……」
此れ以上、紡がれる否定を聞きたくなくて、紅く色付く其処へ口唇を寄せて行く。其れでも、逃れようと逸らされる顔に頬を寄せて口唇で辿りながら上向かせた。
「四宮……」
「檜佐木は、私の事が好きなの?」
「………………は?」
触れる――…
其の瞬間、聴こえた四宮の声に、少しだけ冷えた頭で目を遣れば、其処には辛そうに表情を曇らせる四宮が居て……
「……何、に……言って……」
ぐるぐると、突然の事に思考が定まらない俺にちゃんと分かってると苦笑う。
「知ってる……。知ってた、から……」
こんな状態、こんな四宮こそが理不尽に押し倒されている状況だと言うのに、
「ごめんね……」
四宮は、悔いるように謝罪を口にした。
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