修兵と別れた理由は簡単だ。
何度めかのデートの日。
待ち合わせ場所に現れた修兵は、一人じゃなかった。
修兵の隣に寄り添って、明るく私の名前を呼ぶそのコは間違い無く私にとっても友人で……
其所で偶然会ったって、だからって一緒に来たりするものなのかと、嫌な事を思っては自己嫌悪した。
その他大勢に近い沢山の友人の中の一人から、何が気に入ってくれたのか少しずつ距離が縮まって恋人に昇格になった。
二人きりの時間に緊張しながらも、嬉しかったのは私だけだったのかと少し凹んだ。
店に向かうまでの道々で、修兵の隣に並んだのもその友達で。
ぽつんと一人、私は仲良く話す二人の後ろ姿を見て歩く。
きっと誰が見てたって、私が付属品だったに違いない。
楽しみにしていた人気のお店の受付で、私に何の断りも無く人数の変更を告げた修兵の……
隣に座ったのも、私じゃなかった……。
私じゃない誰かが修兵の隣を歩く、隣に座る。
余裕の無い私が悪いのかも知れない。
何度もそう思おうとして失敗した。
私が居るのにそれを許す、そんな修兵も解らなくなった。
仲の好い友達までを疎ましく思う、こんな自分も、修兵も……。
修兵は、私を好きな訳じゃない
一番じゃないから、他の誰とも変わらない。
私は、修兵の特別になれた訳じゃなかった。
だったら……
彼女と言う呼び名に意味なんて無い、そう思った。
嫌だと、帰りたいと何度も思っては、最後まで笑えと命令した。
其れが私の最後の意地だった。
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