修兵短編 壱 | ナノ


08

君に触れる(拍手)


私は羨ましかった。

修兵に無条件で触れられる彼女達が……

そう云えば、だったら早く言えよと怒られた。

ちょっと待ってよ。
さっきから、何でそんな偉そうなのよ!


「大体、修兵がずっと彼女がいるから悪いんでしょっ」

「んなの、いね……」

「何よ?」

「何でもねぇよ」


そんなことよりって話を逸らす修兵にムッとして、業務に戻ろうとすれば


「俺はヘタレでお前が思ってるほど女慣れしてねぇし、付き合ってた女も居なかったってはっきり言えばいいじゃねぇか」


そうやってカッコ付けてるから、ごちゃごちゃ揉めんだよって呆れた声が聴こえて来た。


「「阿近さんっ!?」」


ちょっ 何言ってんすかって焦る修兵なんか意にも介さず


「莫迦に付けた薬の効き目を確認しに来ただけだ」


って、ヒラヒラと後ろ手に手を振って去って行ってしまった。

チラリと修兵を伺えば、何だよって顔で開き直っている。

本当に、莫迦みたいだ。

こんなに傍に居たのに。
ずっと許されていたのに……。


「紗也」


名前を呼ばれて振り向けば、あっと言う間に抱き込まれていた。


「修兵、ここっ 隊舎…」

「ああ」


ああじゃなくてっ!


「修兵っ」

「どんだけ我慢したと思ってんだよ」

「後、何時間かくらい…」

「その間、仕事になんねぇから、同じ」


だから、そろそろ黙って

大人しく触れさせて――…





prev / next

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -