君に触れる(拍手)私は羨ましかった。
修兵に無条件で触れられる彼女達が……
そう云えば、だったら早く言えよと怒られた。
ちょっと待ってよ。
さっきから、何でそんな偉そうなのよ!
「大体、修兵がずっと彼女がいるから悪いんでしょっ」
「んなの、いね……」
「何よ?」
「何でもねぇよ」
そんなことよりって話を逸らす修兵にムッとして、業務に戻ろうとすれば
「俺はヘタレでお前が思ってるほど女慣れしてねぇし、付き合ってた女も居なかったってはっきり言えばいいじゃねぇか」
そうやってカッコ付けてるから、ごちゃごちゃ揉めんだよって呆れた声が聴こえて来た。
「「阿近さんっ!?」」
ちょっ 何言ってんすかって焦る修兵なんか意にも介さず
「莫迦に付けた薬の効き目を確認しに来ただけだ」
って、ヒラヒラと後ろ手に手を振って去って行ってしまった。
チラリと修兵を伺えば、何だよって顔で開き直っている。
本当に、莫迦みたいだ。
こんなに傍に居たのに。
ずっと許されていたのに……。
「紗也」
名前を呼ばれて振り向けば、あっと言う間に抱き込まれていた。
「修兵、ここっ 隊舎…」
「ああ」
ああじゃなくてっ!
「修兵っ」
「どんだけ我慢したと思ってんだよ」
「後、何時間かくらい…」
「その間、仕事になんねぇから、同じ」
だから、そろそろ黙って
大人しく触れさせて――…
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