高が失恋くらいで
そう奮い立たせて出舎してみれば、一番恐れていた現実が私を待っていた。
普段通りにと頑張れば頑張るほど、曇って行く修兵の表情。
会話もぎこちない、目も合わない。
こんなことでは、隊務にまで支障を来すと懸念して居れば
とうとう、と言うのか
終に、と言えばいいのか
書類配達をして来ると言って、修兵が隊舎を出て行った。
「副隊長が書類配達って……」
修兵が手にした書類が、配達の必要のない物だって、私が気付かないとでも思ってやっているんだろうかと思えば、苦笑いしか出て来ない。
これは本当に、
「異隊、かな……」
呟いたはずの言葉は、静かな副官室に思った以上に響いて
耳に木霊した――…
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