気を失った紗也を抱き締めていた。
こんなになっても解放してやれない、こんなにも紗也に執着している自分を、もう隠すつもりもなかった。
解っている。
紗也がああ言ったなら、もう駄目なんだってことくらいは……
だからこそ、この手を放したら終わりなんだ。
「修、へ……」
「紗也!」
何て顔をしてるのと優しく頬に触れて来る。
俺は今、相当に酷い表情をしてるんだろう。
そうして晒して、みっともなく足掻いても
「…無茶して、ごめん」
解放してやれなくてごめん。
俺は、絶対にお前は手放さない。
「俺の好きなようにしていいなら……」
「修兵?」
「絶対に別れない」
愛されてないとか、そんな哀しいことは二度と言わせねぇから……
「…莫迦だなぁ、修兵は。そんな、無理する必要なんてないのに……」
そういうのは、情が湧いたって言うんだよ
そう言って、今日初めての感情をその瞳が映していた。
見る見る歪んで行く表情にほっとする俺がいる。
無理なんかじゃない。
信じてくれなんて言わない。
「お前が俺を諦めても、俺がお前を諦めない」
もう一度、絶対に手に入れる――…
今度は俺を嫌だと言っても
諦めてなんかやらない――――prev /
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