「お届け物」








遊「はぁ……」


ブ「どうしたのマスター?近頃元気ないね?」


遊「いや…最近夢見が悪くてな…」


ブ「どんな夢見るの?」


遊「クロウが素直で大人しい夢」


ブ「悪夢だね」


ク「お前ら面貸せ」


遊「多分…俺の秘かな望みが夢になって出たんだろう…」


ク「どういうことだよ」


ブ「そうか、マスターは初期のクロウの性格が恋しいんだね」


遊「昔はいい子だった…二日間だけだったが」


ク「なら設定戻せばいいだろ」


遊「もう、俺には口煩いクロウじゃないと満足できない」


ク「喧嘩売ってんのかそうじゃないのかハッキリしろよ」


遊「大人しい初期のクロウに戻っても、つまらないだけだな」


ブ「クロウのおかげで、遊星の毒舌も成長したんだもんね」


遊「別に成長したくなかったんだがな」


ク「やべぇ、家出してぇ」


遊「家出してもいいが、俺から1mでも離れたら爆発するぞ」


ク「すでに1m以上離れてんだけど」


遊「離れたら爆発させるぞ」


ク「何で言い直したんだお前」


ブ「じゃあ、僕がマスターから離れたらどうなるの?」


遊「何を言っているんだブルーノ。お前はそもそもいい子だから離れないだろう」


ク「遠まわしに俺は悪い子だって言ってんじゃねーか」


遊「まあ、それはどうでもいい。お前に届け物をして欲しいんだが」


ク「届け物ぉ?」


遊「ただし、俺から離れたら爆発する」


ク「お前結局何がしたいの?どうしてほしいの?いい子だから言ってごらん」


ブ「立場が逆になってるよ」


遊「外も暗くなってきたから届けるのについてきてくれ」


ク「最初からそう言え。遠まわしすぎて訳分からねぇよ」


ブ「要約すると、『外も暗くなったし、一人での夜道が怖いからついて来て欲しい』ってことだね?」


遊「なんだその情けない子どもの言い分は」


ク「合ってんじゃねぇかよ」


遊「……まあ、合ってることにしておこうじゃないか」


ク「何で恥ずかしそうなんだよ。やっぱ合ってんじゃねぇか」


遊「さっさと行くぞ(ダッ」


ク「逃げたよな。あれ絶対逃げたんだよな?」


ブ「うん、逃げたね。早く追わなくていいの?遊星は足速いよ?」


ク「どうせ外で待ってるって。だって一人で行けないんだろ?」


ブ「それもそっか。行ってらっしゃい」


ク「早めに帰るなー」
















遊「ただいま」


ブ「あぁ、お帰りなさ……クロウ、頭押えてどうしたの?」


ク「マスターにぶん殴られた」


ブ「どういうこと?」


遊「街灯一つもない道を歩いてる時に、延々と怖い話を言い続けるんだぞ?酷いと思わないか?」


ブ「それで、クロウを殴ったの?」


遊「殴ったがこいつは機械だった。正直、右手が痛い」


ク「ざまぁみろ」


遊「バラすぞ」


ブ「まあまあ、喧嘩はもう良いから。よく飽きないねぇ、同じようなやり取りを毎日して」


遊「仕方ないだろう、クロウが飽きずに俺に喧嘩売ってくるから…」


ク「いや、お前が喧嘩売ってくるんだろうよ」


遊「いや、クロウだろ」


ク「いや、お前だろ」


遊「………」


ク「………」


ブ「あーもう!落ち着いて!!全くもう、仲が良すぎるのも困ったもんだよ…」


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