「クロウデレ」
ブ「マスター、研究資料持ってきたよ」
遊「有難う、そこに置いといてくれ」
ク「ん……、遊星」
遊「ん?」
ク「…おい、遊星、おい」
遊「なんだ、さっきから人の白衣を引っ張って」
ク「電話」
遊「(ポトッ)」
ブ「マスター!ペン落としちゃったよペン!」
遊「クロウが素直に着信を教えただと!?誤作動か!?プログラムにウイルスでも感染したか!?」
ブ「マスターそれ驚く所!?いや、確かに珍しいっていうかありえないっていうか…っ」
ク「いいからさっさと出ろよ。相手に迷惑掛かってんだぞ」
ブ「そ、そうだよ遊星!早く電話に出ないとね、ね!」
遊「……、繋げて良いぞ」
ク「―通話に接続します―……『あ、遊星?俺、龍亞だよー!』」
遊「なんだ、龍亞か。それならクロウが素直に着信報告するのも納得だ」
ブ「うん、納得」
ク『えと…遊星?用件言って良い?』
遊「あ、あぁ、良いぞ。なんだ?」
ク『実はね、龍可のデュエルディスクが故障したみたいでさ、修理して欲しいんだ』
遊「いつ頃位から調子が悪いんだ?」
ク『二、三日前かな?そのぐらい』
遊「分かった、デュエルディスクを持って家に来ると良い。しばらくは自宅で仕事するから、いつでも家に居るぞ」
ク『じゃあ、今度行くよ!修理お願い!』
遊「任せておけ。龍可にもそう伝えておいてくれ」
ク『勿論!じゃあ、お仕事頑張ってね、遊星』
遊「有難う、龍亞」
ク「―通話を切断しました―」
遊「デュエルディスクの故障か…工具を出しておくか(ガタッ」
ク「いい、俺が出してくる(スタスタ」
遊「………有難う」
ク「おー」
遊「ブルーノ、俺は熱があるんだろうか。ありえない幻覚が…いや、幻聴もだな…」
ブ「大丈夫、幻覚でも幻聴でもないよ。現実だよ」
遊「……やはりプログラムに何か…」
ブ「マスター、すっかり毒されちゃったね…。たまにクロウがデレてもこうだよ」
遊「俺はクロウのデレに慣れてないだけだ」
ブ「まあ、二人でいつも仲良く喧嘩してるもんね」
遊「普通、仲が良かったら喧嘩しないだろう」
ブ「マスターとクロウの場合、喧嘩が絆の確認みたいなところあるじゃないか」
遊「そう……なのか?」
ブ「少なくとも、僕にはそう見えるけど?」
遊「……なら、今日は俺も少しは素でいくか」
ブ「いや、いつも素でしょ」
遊「何を言う。俺の素はあくまで純真で純粋で優しい方だ」
ブ「完璧に毒されちゃってるよ」
ク「工具持ってきたけど、何処に置いとけばいいんだ?」
遊「そこのテーブルの上にでも置いておいてくれ」
ブ「マスター、そろそろ休憩したら?ずっと仕事で机に向かってるじゃないか」
遊「もう少しでプレゼンの企画資料が終わりそうなんだ」
ブ「でも、目も疲れてるんじゃない?さっきから目擦ってるし…」
遊「大丈夫、大丈夫だからもう少し…」
ク「はいはい、強制終了、強制終了」
――ゴロゴロゴロゴロ
遊「おい!こら!何を…っ!」
ク「オフィスチェアの便利な活用法」
ブ「あぁ、成程ー」
遊「こ、こらっ床に傷がつく!」
ブ「マスター、気にする所はそこなの?」
ク「お前、一般的にズレてるわ。そろそろ休まねぇと、身体壊すぞ」
遊「だがっ、後少しで終わるんだが!」
ク「ブルーノ、先に行ってコーヒーでも淹れとけ」
ブ「そうだね、準備してくるよ」
――パタパタ…
ク「このままリビングへ連行だ(ゴロゴロゴロ」
遊「後少し!後一行!」
ク「駄目」
遊「三文字!三文字で良いからっ!」
ク「駄目」
遊「くっ……だったらっ」
ク「駄目」
遊「まだ何も言ってない!」
ク「何を言っても駄目しか言わないからな」
遊「………くそっ、何て固い携帯なんだ」
ク「携帯だから」
遊「そっちの固いじゃないぞ!」
ク「そうだろうよ。どうでも良いから移動するぞ(ゴロゴロゴロ」
遊「後…少しだったのに…っ!」
+++++++++++++++++
ブ「はい、マスター。コーヒーどうぞ」
遊「………有難う」
ブ「今日は妙に、クロウが遊星を労わるね?何かあったのかな?(ボソッ」
遊「悪いものにでも感染したかな(ボソッ」
ブ「それとも、たまにデレることを覚えたのかな?(ボソッ」
遊「そうだったら良いな(ボソッ」
ブ「クロウは気紛れだからね…(ボソッ」
ク「言っとくが、全部聞こえてるぞ」
遊「ブフッ」
ブ「遊星が吹き出した!ちょっ、布巾!布巾!白衣に染みが…!」
ク「また古典的な吹き方したな」
遊「聞こえてるのに最初の方で指摘しないとは…考えたな」
ク「仕事し過ぎて頭が弱くなってんな?寝たらどうだ?」
遊「何を考えてる!何か企んでるのか?!急に俺を労わりだして!なにか要求でもあるのか!」
ブ「マスター落ち着いて!」
ク「……持ち主労わって何か悪い事でもあるのか?」
遊「(カチャンッ)」
ブ「マスター、カップ落としちゃだめええええ!!」
遊「………」
ブ「マスターしっかり!顔に生気がないよ!」
遊「……俺が酷使しすぎて、どこか可笑しくしてしまったか…すまない、俺が悪かったんだ(号泣」
ク「ブルーノ、お前コーヒーじゃなくて酒飲ませたんじゃないか?」
ブ「いや、寧ろ君が酒飲んでない?大丈夫?」
ク「お前ら本当失礼だな」
遊「ごめんな、クロウ…これからはもう少し労わってやるからな…(ギュッ」
ク「遊星ってコーヒーでも酔うのか?(ナデナデ」
ブ「どうしよう、僕が一番混乱してきたよ」
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