「歓迎」








遊「それじゃあ、ブルーノはリビングを、クロウは客室を掃除してくれ」


ブ「うん、分かった」


ク「窓拭きもか?」


遊「窓は……まあ、時間があればで良い」


ブ「リビングはワックス掛けした方が良い?」


遊「いや、軽く拭くぐらいで十分だ」


ブ「じゃあ、まずは掃除機だね」


ク「棚の掃除からするか…」














ブ「ところで…マスター?」


遊「ん?」


ブ「なんで突然掃除し始めたの?」


遊「明日、来客が泊りに来るんだ」


ブ「そうなの?誰が来るの?」


遊「鬼柳だ」











――ガシャンッ











ク「なん……だと…?」


遊「おい、今何を落とした?割れる音がしたぞ?」


ブ「あ、花瓶が二個割れてる……」


遊「何!?何色の花瓶だ!?」


ブ「水色のやつ」


遊「あぁ、親父のか。なら問題ない。捨てておけ」


ブ「それって良いの…?」


ク「お、おい待て、鬼柳が泊りに来るってどういうことだよ」


遊「単に遊びに泊りにくるだけだ。それよりも花瓶を割ったことを謝ってくれ」


ク「わりぃな」


遊「全く反省の色が見られない。だが、親父の花瓶だからそれで許そうじゃないか」


ブ「不動博士…可哀想に…」


ク「で、客室を掃除ってことは、この部屋に鬼柳を寝かせるわけだな?」


遊「あぁ、そうだ。だからって掃除に手を抜くなよ?手を抜いたらお前のメンテナンスも手を抜くからな」


ク「どういう脅し文句だよ……」


ブ「じゃあ、リビングをぴっかぴかにしようかな」


遊「さすがブルーノ、何事も真面目に取り組むな。クロウ、見習え」


ク「おい、誰があの風呂場掃除したと思ってんだよ。めちゃくちゃぴっかぴかじゃねぇかよ」


遊「俺が言ってるのはそんなことじゃない。客によって掃除の手抜きをするなと言ってるんだ」


ク「誰も手を抜くなんて言ってないぞ」


遊「ならさっさとやれ。花瓶まで割って、ゴミが増えたじゃないか」


ブ「不動博士の花瓶をゴミ扱い……」















――次の日












鬼「お邪魔しますー」


遊「昨日掃除したばかりだから、足元気をつけろよ」


鬼「掃除して何で足元を気を付けるんだ?」


遊「滑る」


鬼「どんだけ几帳面に磨いたんだ」


遊「ブルーノが掃除したからな。あいつは几帳面だから床もスケートリンクになる」


鬼「うわ、この長い廊下を思いっきり滑ってみたい」


遊「怪我しても一切責任は取らないぞ」


鬼「止めとく。さすがに年齢的にな…」


遊「そうか?鬼柳なら滑りそうだと思ったんだが」


鬼「遊星の中の俺は、よっぽど子供なんだな」


遊「別にそういうわけじゃ…。あぁ、お前の部屋はここになる」











――ガチャッ











鬼「うぉーさすが不動家…客室広いなぁー…」


ク「きやがったな悪玉菌め」


鬼「俺はいつから細菌になったよ」


遊「片付け終わったか?」


ク「あぁ、今道具を片付けてるとこだ」


鬼「クロウがここ掃除したのか?」


遊「あぁ」


鬼「……盗聴器とか盗撮カメラとか爆破物とかないよな?」


遊「鬼柳を盗聴盗撮して何が楽しいのか教えてくれ」


ク「なら、今ここで爆破してやろうか?」


鬼「冗談です、冗談!」


ク「そんじゃ、道具向こうに運んでくるな」









鬼「なんか、今日のクロウはいつもと違って微妙に…素直?だな?」


遊「散々お願いしたからな」


鬼「お前が?」


遊「俺だって頭くらい下げるさ。面白かったぞ、俺が頭を下げた時の、なんとも言えない慌てたクロウの顔は」


鬼「今回ばかりはクロウに同情するぜ…」


遊「とりあえず、荷物はここに置いて、居間に来ると良い」


鬼「おう、分かった」

















鬼「よっし、クロウ!俺とデュエルだ!」


ク「レベルは?」


鬼「レベル?」


ク「俺のデュエルレベルだよ。1が最弱で10が最強。強さの段階があるんだよ」


鬼「じゃあ、迷わずレベル10だ!」


遊「本当に良いのか?レベル10は禁止デッキだぞ?」


鬼「何!?禁止デッキ!?ちょっ、ストップ!」


ク「――レベル10スタンバイOK――」


鬼「止める気ねぇ!こいつ!!」


遊「言っておくが、鬼柳」


鬼「な、なんだ?」


遊「正直、レベル1のクロウに勝てたことが無い」


鬼「遊星が!?」


遊「クロウのデッキはな、レベル1でも最強レベルなんだ」


鬼「ちょっ…それは先に言ってくんねぇと!!」


ク「デュエル」


鬼「始めやがったこいつ!!」


遊「そろそろブルーノの充電が終わる頃か…」











遊「デュエルはどうなっている?」


ブ「鬼柳、いらっしゃ……うわぁ」


鬼「………泣きそうなんだけど」


遊「クロウの場に、トリシューラとブリューナクとゴヨウ・ガーディアンか…」


ブ「目を背けたいね、これ」


ク「おい、鬼柳。お前のターンだぞ」


鬼「サレンダー」


ク「はぁ?」


鬼「勝てるか――!無理言うな――!」


ク「デュエリストのくせに諦めんのかよ!」


鬼「禁止デッキのお前が言うな!!お前の場に伏せてるそのカード、何を伏せてたんだ!」


ク「神宣二枚にミラフォ一枚」


鬼「それで続けろとか言ってんのかお前は!鬼畜だなマジで!!」


遊「まあまあ、仕方ないさ鬼柳。クロウ、デュエルはもう良いだろう?鬼柳がサレンダーしたんだから」


ク「全く、相手にもならねぇぜ」


鬼「禁止は喋んな!!」















遊「そろそろ寝る時間だぞ」


鬼「えぇえー早くねぇ?!」


遊「そうか?」


鬼「徹夜しようぜ、徹夜!明日休みなんだし!」


ク「ガキかよ」


鬼「少年の心を忘れていないんだよ」


ク「データーベースに登録しました。登録語句“鬼柳”、意味“何もかも残念”」


鬼「なにこの携帯!!鬼!悪魔!!」


ブ「………クロウのデーターベースがどうなってるのか気になる」


遊「今度見てみるか」


[ 61/211 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -