「携帯VS持ち主」







遊「クロウ、気持ちの良いことをしないか?」


ク「初期化ダメ、絶対」


遊「……流石高性能、勘が良いな・・・」


ク「初期化でスッキリすんのはお前だけだろ!」


遊「だが、お前が勝手にデータを書き変えるから、お前の機能を存分に発揮出来ないんだぞ?持ち主の俺がだ」


ク「別に良いじゃねぇか。ほとんどの機能はブルーノで使用してるわけだしよ」


遊「確かにそうなんだが…、俺としてはお前を携帯のように扱いたい」


ク「普段、俺を何だと思って扱ってんだよ。携帯じゃねぇの?」


遊「なんかもうな…携帯じゃなくて、弟の面倒を見てる気分だ」


ク「誰が弟だ!誰が!」


遊「お前のことだ、今年で2歳」


ク「製造されてからで数えんな!設定上、俺は19歳!お前と同い年!」


遊「分かってる、分かってる。とりあえず、初期化させてもらおうか」


ク「しっかりと右手に接続コードを持ってやがる…!」


遊「自分のものを自分好みに仕上げる……快感だと思わないか?」


ク「うぉおお……お前、それを女の子に言ってみろよ…オトせるぜ…」


遊「今は女の子じゃなくてお前に言ってるんだ。ほら、大人しく接続コードに差されろ」


ク「なんかお前、近頃横暴になってきたよな!?何、何か悩みでもあんの!?ストレス!?」


遊「誰のせいだと……。別に変なことはしない。一部データーベースが情報で満タンになってきたんだ。新しいスペースを作らないと、お前の人格に影響が出る可能性がある。分かったか?」


ク「影響が出て、ブルーノみたいに素直になったらどうするよ」


遊「同じことだ。書き変える。俺はお前のその性格が好きなんだからな」


ク「………仕方ねぇな、大人しくしてやるよ」


遊「そうか、分かってくれたか(ガチッ」


ク「いってえぇぇええ!!お前実はイライラしてただろ!いつもよりコードの差し入れが荒いぞ!」


遊「誰かさんが我が儘言うからな」


ク「へいへい、悪かったな我が儘でー!」

















遊「よし、これで良いはずだ」


ク「さっきからずっと静かだけど、ブルーノはどうした?」


遊「買い物に行かせている。街もゆっくり見たいんだそうだ」


ク「帰って来れるのか?」


遊「ブルーノには、GPS機能が搭載されてるからな。一人で何処でも行ける。クロウには無い機能だろう?」


ク「……どうせ俺は一人で何処でも行けねぇよ」


遊「そんなこと言うだろうと思って、整理と同時進行で、GPS付けておいたぞ」


ク「いつの間に……!」


遊「これで、お前も一人で遊びに行けるぞ」


ク「別に行くつもりはねーよ」


遊「いくら携帯だからって、気分転換は必要だぞ?ゆっくり一人で散歩するのも良いじゃないか」


ク「俺は初期設定で、持ち主の傍を出来るだけ離れないようにするっていうプログラミングがされてんだよ。GPS機能を付けられても、遊びに行く理由はないわけだ」


遊「じゃあ、そのプログラムを書き変えて……」


ク「お前どんだけ万能!?書き変えなくて良いっての、俺はこれで十分なんだからなッ」


遊「……全く、素直じゃないな。俺のそばが一番良いって言えば良いものを」


ク「んじゃ、それで」


遊「あのな、いくら俺でも人間として傷つくわけでな・・・」


ク「遊星、お前も結構面倒だな」


遊「……もういい。お前を明日の夜までスリープモードにする」


ク「止めろぉおお!!まだ遊星との会話を43%しかしてないんだぞ!」


遊「……いちいち計算してたのか?毎日?100%にならないとダメなのかそれは?」


ク「………(ダッ」


遊「あ、逃げるなクロウ!その赤い顔は充電の印なのか?それとも単に照れてるだけなのか?」


ク「うっせ!黙れ!飯でも食ってろぉおお――!」


遊「………もう少し素直になるように設定した方が良いのだろうか…」





+++++++++++++++++










遊「もう少し、クロウが素直になるよう設定しようと思うんだが…これをどう思う?」


鬼「凄く…気持ち悪いです…」


遊「いや、素直なクロウもそれはそれで可愛いと思わないか?」


鬼「遊星、自分の顔を鏡で見てみろ。そんなこと言ってるお前の顔は引き攣ってるからよ」


遊「素直なクロウなんて想像出来ない」


鬼「まあ……ものは試しじゃねぇ?俺は絶対鳥肌立つと思うけど」


遊「……ブルーノに協力してもらって、設定を一度変更してみるか…凄く…ドキドキする」


鬼「研究者の顔になってるぞ。でも、持ち主の気まぐれで改造されるクロウも…大変だな…」


遊「べ、別に変な改造をしてるわけじゃないぞ…っ?」


鬼「じゃあ、例えばどんな改造してんだよ」


遊「防衛機能で繰り出されるクロウの攻撃パターンを何十種類か増やしただけで…」


鬼「遊星、クロウを携帯じゃなくて兵器にしたいんだな?」


遊「そんなことはない。でもワクワクしないか?クロウの右手からロケラン出てくるんだぞ?」


鬼「怖すぎてゾクゾクするよ」


遊「一度試しに使ってみたいくらいだ」


鬼「いつか捕まるぞ、お前」


遊「上で揉み消すから問題ない」


鬼「19歳になってから…性格が変なとこでねじ曲がったな…俺悲しいよ」


遊「一部原因はお前にあると忘れるな鬼柳」

[ 54/211 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -