「お留守番」
亞「遊びに来たよー!遊星ー!」
可「こんにちはー!」
ク「おぅ、遊星ならいねーぞ」
亞「え!?何で!?」
ク「部品が足りなくなって、買い出しに行った」
可「クロウは行かなくて良いの?」
ク「ブルーノがついていってるから良いだろ」
亞「何でクロウは行かないの?」
ク「ブルーノの奴、防衛機能が搭載されてなかったんだよ。防衛機能が無けりゃ、完璧な留守番はできねぇ。だったら、俺が留守番するしかねぇわな」
亞「大変だね、クロウ」
可「それで、何で上半身裸なの?」
ク「充電しながらメンテナンス中」
亞「あ、本当だ。コードが繋がってる。……でもクロウ、こうやって見ると…普通の人間みたいだよね」
可「本当、人間と変わりないわ。こうやって見ると、世界の機械技術って凄いわね」
ク「でも、身体の中にはネジやら鉄板やら…色々組み込まれてるぞ」
亞「……磁石かざしたらどうなる…?」
ク「かざしてみろ。その場で一時間くすぐるからな」
亞「やだなぁ!やらないよそんなこと!」
可「ちょっと期待してたくせに…。メンテナンス中って言ったけど、例えばどんなことするの?」
ク「簡単に言えば、身体の悪いもんを探したり、情報を最新にしたりとかだな」
可「やっぱり、そこは機械なのね」
亞「じゃあさ、じゃあさ!水とかも駄目なの?」
ク「防水加工してあるから、ある程度の水はどうってことないぜ。でも、海水は駄目だな。錆びる」
可「さすがに海水は不味いわよね」
亞「でも、クロウ?もしも、遊星が海で溺れたらどうするの?」
ク「助けるに決まってるだろ?」
亞「でも錆びちゃうよ?」
ク「錆くらい、後でどうにでもなるだろうよ」
亞「やっぱクロウかっこいいよ!携帯なのに!」
ク「携帯なのに、は余計だっつーの」
可「そういえば……最近、クロウってよく遊星と言い争いになってない?」
亞「昨日も何か言ってたよね?大声でさ」
ク「俺は悪くない。あいつ、俺がスリープモードになってる間に、データー書き変えてたんだぞ…?無断でだ…」
亞「つまりは……どういうこと?」
可「簡単に例えるなら、龍亞が進めてたゲームデータを、龍亞が寝てる間に私が上書きしちゃったって感じね」
亞「えぇえええ!それは酷いよ!!」
ク「だろぉ!?普通、本人に許可取るもんだろ!?なのに、あいつ無断で書き変えたんだぞ!?しかも、何を書き変えたのか分かりゃしねぇ!」
亞「酷いよ!それは酷いよ遊星!そんなことしちゃったら、遊星が嫌いになっちゃうよ…っ」
ク「それはねーな」
亞「あれ?ないんだ?」
ク「結局は俺のマスターだからな。別に嫌いにはならねーな、どうやっても。寧ろ、機械の俺に嫌いになる方法を教えて欲しいくらいだ。そんな情報検索しても、なにも答えが見つからねぇしな」
可「クロウは嫌いにならないわよ、一生。だって、遊星の愛情を受けてるんだもの。愛情を貰ってる以上は、嫌いになんてなれないわ」
ク「そうなのか?」
可「うん、そういうものなの」
ク「へぇ、データーベースに保存しておこう」
亞「そこはやっぱり、機械らしいね」
ク「あ」
亞「え、なに?どうしたの?」
ク「データー書き変えたのはこれかああああああ!!!」
可「どうしたの!?なにか見つけたの!?」
ク「昨日っ、遊星が書き変えたデーターを発見した……。くそっ、手早い書き変えしやがって…!」
亞「どんなことされてたの?!」
ク「俺があれだけ登録しておいたブラックリストを、全部初期化してやがる!!」
可「………それは自業自得じゃないの?」
亞「あぁ…あのジャックや鬼柳の情報を含む、ブラックリストかぁー…」
可「それは流石に書き変えるでしょうよ」
ク「何でだよっ?!」
亞「だって、頼んでもいないのに登録しちゃったんでしょ?そりゃあ、遊星だって困るよー」
可「でも、何で他のはともかく…ジャックや鬼柳の情報を登録したの?遊星の友人なのに」
ク「ジャックは電話が五月蠅い。俺の身体の部品が軋むぐらい大声で怒鳴りやがる」
亞「それは嫌だね」
ク「鬼柳はあれだ、満足満足五月蠅いせいで、俺の変換機能で一番最初の候補に『満足』が出るようになっちまった。精神的に無理」
可「………クロウも大変なのね」
ク「俺が頑張ってブラックリストまとめたってのに…!遊星のデータを書き変えてぇぇぇぇぇ!!」
亞「でも遊星は人間だからねー…」
可「遊星に接続して書き変えればいいじゃない。色々と(ボソッ」
亞「龍可?今なんか言った?なんか邪なこと言った?」
可「何も言ってないわよ」
亞「そう?それなら良いんだけど……」
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