「置いてけぼり」








鬼「お前も気の毒だな」


ク「同情は止めてくれ」


鬼「まーさーかー遊星の奴、携帯忘れるとはな」


ク「俺を置いて行きやがった…俺をなんだと思って…」


鬼「良かったなー、俺が戻ってきて。じゃねぇと、今頃お前警察で保管されてたぜ?」


ク「…………っ」


鬼「にしても、携帯を電車の座席に忘れるなんて…っ、遊星もどんだけ天然だよ(爆笑」


ク「俺の持ち主を馬鹿にすんな(ゲシッ」


鬼「いてっ!携帯は携帯らしく、じっとしてろっての…しっかり脛を狙いやがって…」


ク「今度言ったら、お前に電流流すからな」


鬼「うわ、怖ぇっ!マジでそんなこと出来んの!?」


ク「遊星が改良したからな」


鬼「あいつ…自分の携帯を武器にするつもりかよ…。俺、人間型携帯持ってないから知らねぇんだけどさ、充電ってどうやってしてんの?」


ク「首の後ろにコードの差し込み口がある」


鬼「そういう構造なのか。凄いな」


ク「タイプによって異なるんだよ。持ち主の愛情で充電したり…あぁ、これは動物タイプが多い。他にも、腕にあったり腰にあったり」


鬼「タイプによって異なったりするのか…凝ってんなぁー」


ク「アレなタイプは、差し込み口があんな所にあったりとか」


鬼「………だ、誰向け?」


ク「お前向けじゃねぇの?」


鬼「買わねぇよ!!俺を変態扱いすんな!」


ク「ま、俺の場合はオールマイティタイプだからな。カスタマイズによって、充電方法が変わるんだよ」


鬼「お前意外と高性能?」


ク「ふざけんな。最高級品だぞ、俺は」


鬼「じゃ、遊星は首の後ろにカスタマイズしたのか?」


ク「これは初期設定。あいつ、設定を弄らないタイプみたいだからな」


鬼「じゃあ、もしも設定がアレな場合は…」


ク「俺が接続する側だな」


鬼「……んん?」


ク「俺がぶっ差す側だな」


鬼「携帯の癖に生々しい」


ク「お前の脳みそが生々しいわ」


鬼「じゃあ、愛情で充電も出来るわけ?」


ク「まあな。そういう設定にすれば出来る」


鬼「ちなみに、持ち主以外の愛情を充電したら、どうなるんだ?」


ク「爆発する」


鬼「うえぇ!?」


ク「冗談に決まってんだろ。爆発したら携帯じゃねぇよ。兵器だ」


鬼「おまっ…携帯の癖に冗談とか言うな…」


ク「質問するなら今のうちだぞ。普段はお前と会話しねぇからな」


鬼「あぁ、そうだな。お前、俺の着信とか遊星に繋げないもんな。……お前って、どんな機能ついてんの?」


ク「普通の携帯に内蔵されてる機能は一通りついてる。特殊なのは、デュエル機能とかサポート機能とか」


鬼「サポート機能?」


ク「持ち主の指示通りに動く機能。つまりは手伝いだな」


鬼「成程、そりゃすげぇ。デュエル機能ってのは?」


ク「文字通り、デュエルの相手をする機能だ」


鬼「へぇ!じゃあ、俺とデュエルしようぜ!」


ク「良いけど…トラウマになるぞ」


鬼「それ、どういう意味だよ…」


ク「俺は高性能だからな。デュエルレベルはMAXのレベル10。強すぎて、会社で禁止にするべきと問題になったもんだ」


鬼「………どんだけ」


ク「どうだ?やるか?」


鬼「………っ、止めとく」


ク「なんだ、つまんねぇの」


鬼「なんか機能とか聞いて、お前が本当に携帯なのか疑問に思えて来た」


ク「携帯だよ、携帯」


鬼「最近の携帯って進んでんなぁ…」


ク「お前も買えば?アレなタイプの携帯」


鬼「だから人を変態だと決めつけるなっての!!」


ク「充電で満足するしかねぇ!って感じで」


鬼「お前そんなに俺を変態にしたいの!?くそっ、拾うんじゃなかったぜ…こんな携帯…心が割れる…」










遊「クロウーっ!鬼柳ーっ!すまない、遅くなって…!」


ク「おっせーぞ遊星ぇぇぇ!人を置いていきやがってぇぇぇ!!」


遊「すまないっ、寝不足でぼーっとしていたんだ…っ」


鬼「遊星ぇー!この携帯怖いぜーおっかねぇよー」


遊「さては、クロウの毒舌にやられたな?」


鬼「こいつ、携帯じゃねぇよ…人の心を砕く兵器だよ…」


ク「情けないな」


鬼「こいつ……っ」


遊「それよりも、クロウ…充電切れかかってるぞ?」


鬼「へ?充電?なんで分かるんだ?」


遊「クロウのようなタイプは、電池が残り少なくなると、顔のマーカーが黄色から赤色に変化するようになっているんだ」


鬼「そういえば…確かに赤いな。気付かなかった」


ク「結構我慢してたんだぞ。電池切れないように耐えるのは」


鬼「何で耐えるんだよ、自然の摂理みたいなもんだろ?」


ク「自分で考えろ」


遊「クロウはな、自分が先に電池が無くなって動かなくなると、鬼柳が一人で俺を待つことになるだろう?だから、鬼柳が寂しくないように耐えてたんだよ(ボソッ」


鬼「………クロウ……。…クロウ!今度、デュエルしようぜ!」


ク「お前やらないって言ったじゃねぇか」


鬼「気が変わった!今度頼むぜ!」


ク「気が向いたらなー」


鬼「そうそう、後でちゃんと充電方法カスタマイズしてもらえよー?愛情バージョンでさ!」


ク「はッ!?」


遊「充電カスタマイズ?なんでまた?」


鬼「その方が、こういう場合でも充電がお手軽じゃん?」


遊「成程、一理あるな」


ク「余計なことは言わなくて良いってっ……の…っ」


遊「やばいな、電池も残り少ないか。早く帰ろう、クロウ。鬼柳、また今度な」


鬼「おう!気を付けて帰れよー!」


ク「お…前…今度会ったら…殴ってやる…」


鬼「……こえぇよ」


遊「行くぞ、クロウ」


ク「……また今度な、鬼柳」


鬼「(おっ、デレた)また今度な!」



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