「無限ループ」
『無限ループ』
鬼「坊ちゃんー!坊ちゃんー!!」
ア「どうしたの?騒がしいわね」
鬼「坊ちゃんが部屋から脱走した!」
ア「なんですって!?」
鬼「ちょっと俺が部屋から居なかった隙に、窓から脱走したらしい!」
ア「窓から?!坊ちゃんの部屋は三階でしょう!?」
鬼「坊ちゃんの身体能力だったら十分可能だ!」
ア「全くもう!油断してるから!」
鬼「う…面目ない…」
ア「ほら、早く探し出すわよ!」
鬼「じゃ、じゃあ俺は向こう探すから!」
ア「他の使用人にも探すように言っておくから」
鬼「おう、頼むぞ!」
ク「はぁ?坊ちゃんが脱走した?」
ア「そう、見てない?」
ク「見てたらとっくに捕獲して部屋まで連行してるぞ」
ア「それもそうね」
ク「だから言ったんだ、首輪付けて鎖付けて、椅子に縛りつけとけって」
ア「貴方、実は坊ちゃんに対して忠誠心ないでしょ?」
ク「んなことねぇよ。他の使用人が甘いんだろ?」
ア「それもまた否定できないわ」
ク「まあ、見つけたら捕縛して部屋に運んどくからよ」
ア「……主人への扱いとは思えないわ」
鬼「坊ちゃんー!もう、どこに行ったんですかーっ!」
ブ「どうしたの?坊ちゃん居ないの?」
鬼「あぁ、脱走したんだよ部屋から」
ブ「坊ちゃんも脱走が好きだねー…」
鬼「てことは、ブルーノは見てないってことだな?」
ブ「うん、見てないよ」
鬼「本当、坊ちゃんは…っ逃げるのは上手いんだから…」
ブ「坊ちゃんも懲りないねー…」
ク「しっかし、これで逃げるの何度目だよ………ん?坊ちゃん?」
遊「……なんだ…クロウか…」
ク「……脱走しておいて日向ぼっこですか?坊ちゃん?」
遊「だっ…そう…?そんな、ひとぎきのわるい…」
ク「寝ぼけてるんですか?呂律が回ってませんよ」
遊「なんの…ことだ……」
ク「ちょっと、寝ないでください。鬼柳もアキも探していましたよ、早く部屋にお戻りください」
遊「だがことわる…」
ク「坊ちゃん、早く部屋にお戻りを。使用人皆心配していますから」
遊「ことわる…」
ク「………、遊星起きろ!!さっさと部屋戻れ!ここで寝ても風邪引くだけだろ!!」
遊「うぐっ……突然怒鳴られると目が覚めるだろう…」
ク「覚めろ!どんどん覚めろ!そして部屋に戻れ!!」
遊「なんて奴だ…これが主従関係を学べと言った奴の言葉か…?」
ク「なんでもいいから戻れ!ほら、さっさと立て!」
遊「うぅ……っ、こういう時だけ手荒だな…」
ク「(ピッ)鬼柳か?坊ちゃんを捕獲した、連行してくれ」
遊「鬼柳に報告したな!?」
ク「当たり前です。でないと、また逃げるでしょう」
遊「また敬語に戻ってるし…」
鬼「坊ちゃんー!ここに居たんですか、探したんですよ!」
遊「う…説教は後にしてくれ、眠気が凄いんだ」
鬼「なら、眠気覚ましに説教致します」
遊「やだ。断る」
ク「説教は屋敷内でやれ。仕事の邪魔」
鬼「はいはい。ほら坊ちゃん、行きますよー」
遊「離せっ!仕事は嫌だ!」
鬼「我が儘言わないでください、坊ちゃんいくつになったんですか」
遊「子供だと思われても構わない!だから仕事は拒否する」
鬼「その拒否を拒否します」
遊「訳が分からない!」
鬼「分からなくて結構です。ほら、行きますよー」
遊「わぁーっ!離せぇー!」
ク「毎度毎度、よく飽きねぇな…あのやり取り。昨日と全く一緒だ」
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