「猟奇的な従者」




『猟奇的な従者』







遊「誘拐犯…?」


鬼「そう。最近、到る所で富豪の息子娘が誘拐される事件が勃発しております」


遊「また物騒だな。今までに誘拐された子達は?」


鬼「安否不明ですが、絶望的かと」


遊「嫌な世の中になったものだな」


鬼「それで、坊ちゃんが狙われている危険性は大いにあるので、騒ぎが収まるまでは外に出ないでいただきたい」


遊「なんだと?俺に暇死しろというのか」


鬼「仕方ないでしょう?坊ちゃんの安全が最優先なんですから。それに、その誘拐犯というのは組織で動いてるようなので」


遊「……仕方ない。早く騒ぎが収まって欲しいもんなんだがな」


鬼「坊ちゃんの物分かりの良さは助かります。良いですか?絶対に屋敷から出ないでくださいね?特に庭には出ないでください」


遊「庭ならまだ大丈夫じゃないか?」


鬼「いいえ、危険です。誘拐犯じゃなくて、別の意味で」


遊「は?」













鬼「というわけで、門の防衛は頼んだぞ」


ク「はい、質問」


鬼「なんだ?」


ク「殺してOKか?」


鬼「えぇ…?せめて麻酔銃とかで留めてくれよ…血の片付けって大変なんだぞ」


ク「反射的に麻酔銃を撃ち込む自信は全くない」


鬼「……分かった、許可するよ。仕方ないな…」


ク「ついでに、地雷許可も宜しく」


鬼「待ってくれ。地雷の片付けも大変なんだぞ」


ク「じゃあ、三つだけ。三つあれば坊ちゃんの無事は確実なんだ」


鬼「お前…怖い事言ってるのに気づけ…」


ク「三つ良いな?OKだな?」


鬼「分かった分かった。全部俺が責任持つ」


ク「さすが鬼柳、分かってるじゃねぇか」


鬼「はぁ……他じゃ見られねぇな、グレネード・ランチャー片手に笑ってる庭師なんて…」


ク「よく言うぜ。どんな武器でも扱える執事の癖に」


鬼「ロケランだって余裕余裕ー…って乗せるなよ。俺は乗っちゃうタイプなんだからっ!とにかく、侵入者は誰一人許すなよ」


ク「了解、了解。死体の片付けはお前に任せた」


鬼「嫌な役割全部俺かよー」


ク「仕方ないだろ?執事なんだから」


鬼「死体処理する執事は俺ぐらいなもんだっての…」














――ドォンッ







遊「……アキ?」


ア「はい?」


遊「外で祭りでもしてるのか?妙に爆発音が鳴り響いてるんだが…」


ア「クロウが今頃花火でもしているんでしょう。お気になさらず」


遊「花火?今は昼間だぞ?」


ア「昼間にやる花火もオツなものです。真っ赤な花が咲いて綺麗ですよ」


遊「見てみたいな。……だが、あの爆発音が五月蠅くて、執務に集中出来ないんだが」


ア「それでは、音楽でも聴きながらやってみてはいかがでしょう?」


遊「そうだな、試してみてくれ」







――〜♪〜♪






――ドォォオンッ







遊「アキ、ストップ、アキ」


ア「なんでしょう?」


遊「ラテン音楽と爆発音がメロディを奏でているぞ。誰得なコラボなんだこれは」


ア「そうですね…クロウwithラテンミュージックってところでしょうか?」


遊「マニア向けか。だがこれは俺の趣味じゃないようだ、全く集中できない」


ア「あらあら、困りましたね」


遊「……息抜きに何か飲もう…適当に何かくれるか?」


ア「それでは、準備してまいります。外出しないでくださいね」


遊「あぁ」






――バタンッ





――ドゴォォンッ






遊「……クロウはどれだけ楽しんでるんだ」















鬼「あ゛ーもう!ドゴン、ドゴン五月蠅い!」


ク「仕方ねぇだろ!マジで坊ちゃんが狙われてるみてぇだぞ!こんなに仕掛けにどんどん嵌っていくのは初めてだ!」


鬼「お前一般客巻き込んでねぇだろうな!?」


ク「一般客が裏から入って来るかよ!正門にはトラップ仕掛けてねぇよ!」


鬼「やっぱ坊ちゃんも狙われてたか…ご主人様の言いつけ通りだな」


ク「さて、次はどんなトラップを仕掛けるか…」


鬼「お前はお前で楽しそうだな…」


ク「こんなにトラップに掛かってくれるなんてな、殺りがいがあるってもんだ」


鬼「猟奇的な庭師でごめんなさい誘拐犯さん」


ク「坊ちゃんの安全が最優先だろうが。うだうだ言ってねぇで、どんどん死体片付けろって」


鬼「血みどろな執事なんてモテないわー」


ク「笑いながら言う事かよ」














遊「鬼柳はどうした?」


ア「片付けをしていますよ。忙しいみたいです」


遊「クロウといい鬼柳といい、今日はどうしたんだ…」


ア「(坊ちゃんに血生臭いモノを見せるわけにはいかないもの)」


遊「ところで……さっきよりは静かになったな?爆発音が止んだ」


ア「そうですね。花火をし終えたんでしょうかね」


遊「これで執務に集中出来るというものだ。早く終わらせてゆっくり休みた……」







――ドドドドドドッ







遊「アキ!!銃声だぞ!アキ!!」


ア「落ち着いてください坊ちゃん。クロウがサバイバルゲームでもしているんでしょう」


遊「サバイバルゲームはBB弾だろう!?明らかに本物の銃声音だぞ!!」


ア「最近のモデルガンもそのような音がします」


遊「そ、そうなのか!?知らなかった!」


ア「(坊ちゃんが世間知らずで助かるわ)」













鬼「お願いクロウ!クロウさん!あまり撃たないで殺さないで散らかさないで――!」


ク「そういうお前も、ナイフ投げて一撃必殺してんじゃねぇか(ドドドドッ」


鬼「ナイフはまだ良いだろう!身体に刺さるんだから!お前のそのマシンガンは空弾が散らかるだろ!」


ク「人数が多い時は、マシンガンで一掃するのが定番なんだよ」


鬼「お前後で片付け手伝えよ!絶対だぞ!」











遊「……終わっ…た…」


ア「はい、お疲れ様です」


遊「っはぁ、気分転換に屋敷をうろつくか…」


ア「そろそろティータイムの時間ですし、そのままブルーノの所へ行ってみてはどうでしょう?」


遊「あぁ、それもそうだな」












ク「殲 滅 完 了」


鬼「その一仕事終えた後の解放感に満ちた顔はなんだ!」


ク「現に一仕事終えただろー?」


鬼「この血生臭い仕事で満足すんな!」


ク「さっさと片付けるぞー。このままだと血の池地獄だ」


鬼「めんどくせぇー…やっぱ反対しときゃぁ良かった…」


遊「二人とも今まで何やってたんだ?」


鬼ク「「坊ちゃぁぁああああん!!?」」


遊「な、なんだ?」


鬼「ちょっ、坊ちゃんここでなにしてるんですか!外へ出ちゃダメって言ったでしょう!?」


遊「だって外でドゴンドゴン五月蠅かったから…」


ク「早く屋敷に戻ってください!外は危ないですから!」


遊「は?いや、でも」


鬼「坊ちゃん!早く屋敷にお戻りを!!」


遊「二人してなんでそう、壁を作ってるんだ?何か隠してるのか?」


鬼「隠してない!隠してませんから早くお戻りを!(坊ちゃんに血の池地獄を見せてたまるか!)」


ク「そろそろティータイムの時間でしょう?!早くお戻りください!(遊星の教育上に良くないぜ!)」


遊「な、なんなんだ…そのいつも以上に何かありそうな覇気は…」


ク「ほ、ほら鬼柳!坊ちゃんを屋敷の方へ連れて行って!」


鬼「お、おう!そうだな!ほら坊ちゃん!屋敷へ戻りますよー!(ガシッ」


遊「ぎゃっ!お、降ろせ鬼柳!歩けるから!」


鬼「はいはい、行きますよー(ダッ」


遊「降ろせぇぇええ!!」







ク「あっっぶねぇ――っ!グロシーン見られるとこだったぜ…っ」








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