「顔合わせ」
ク「おはよーさん、遊星起きろー」
星「……ん…」
ク「朝だぞー、起きろー…お前っ、その包帯どうした!?」
星「……え…(誰だ?)」
ク「首にも包帯巻いてんじゃねーか!いつ怪我した!」
星「え、いや…」
遊「どうした?大声出して…」
ク「それが遊星聞いてくれよ、遊星がいつのまにか怪我して……二人ええええ!?」
遊「……あぁ、説明忘れてた」
ク「え?な、なんで?えぇ?」
遊「まあ、後で皆を集めて説明しよう。まずは朝食だ」
ク「えぇえぇえぇアッサリしすぎだろお前っ!!」
遊「ゆっくり説明するから、な?ほら、お前も来い」
星「あ、あぁ…」
ク「……よく分かんねぇけど…、まあ今は置いとくか…」
遊「急いで朝食作ったんだが、口に合うかどうか分からない」
ク「遊星のことだから大丈夫だろ」
星「……これ、お前が?」
遊「そうだが…、お前は出来ないのか?」
星「得意じゃないな…」
遊「そうなのか。同じ顔してるのに不思議だな」
ク「あー…ごく普通に会話してるとこ悪いんだけどよ、先に説明してくんない?」
遊「それもそうだな。クロウ、こっちは不動遊星」
ク「……全然分かんねぇ」
遊「まあ、そうだろうな」
星「……あんた、確かD1グランプリに居た…」
ク「……D1グランプリ?なんだそれ?」
星「……ライディングデュエルの大会だが…」
遊「知らないな」
星「……どういうことだ…?」
ク「話が見えねぇんだけど」
遊「一晩休んで、何か思いだしたことは?」
星「……何かの光に巻き込まれたような…気がしないでもない」
ク「どっちだよ」
ブ「おはよう、早いねー」
ク「おっせーぞブルーノ」
ブ「ごめんごめん。あれ?遊星が二人いる」
ク「リアクション低ッ!!」
遊「ブルーノ、こっちは俺と同じ不動遊星らしい」
ブ「…どういうこと?」
遊「それを今聴いてるんだが…」
ク「とりあえず、残りメンバーに連絡入れておいたぜ」
遊「あぁ、助かるよクロウ」
ブ「そういえば、ジャックは?」
星「……(ジャック…?)」
遊「ジャックなら昨日からカーリーの手伝いに行ってるぞ」
ク「ちょっとは働いて欲しいぜ…」
++++++++++++++++++
――ガチャッ
ア「おはよう、どうしたの?朝早くから」
遊「悪いな、アキ。学校は大丈夫か?」
ア「えぇ、今日はお休みよ。丁度良かったわ」
星「なっ…十六夜アキ!?」
ア「えっ!?遊星が二人!?」
星「あんた、十六夜アキじゃないのか?!」
ア「え、えぇ…確かに十六夜アキだけど…」
遊「アキを知っているのか?」
星「知ってるも何も……アカデミアの決闘疾走者クイーン・オブ・クイーン…」
ク「ぶっ!wwアキ、お前そんな呼び名あったのか?」
ア「ないわよッ!!」
ブ「もしかしてだけど……そっちの遊星は、別の次元から来たって考えられないかな?」
ク「はぁ?そんなことあるのかよ?」
ブ「そっちの方が考えやすいよ。だってそっちの遊星は、アキさんやクロウを知ってる口ぶりだけど、言ってることとズレがあるだろう?」
遊「確かにそうだな…、決闘疾走者というのは、Dホイーラーのことか?」
星「あぁ、ライディングデュエリストだ」
遊「なら、確かに可笑しいな。アキはDホイーラーになって間もない」
ク「というか、俺のこともそんなに知らない口ぶりだしな」
星「あぁ、話したこともない」
ク「マジかよ」
遊「俺とクロウは幼馴染だが…」
星「……キングは知っているか?」
ク「キング?お前の隣に居るだろ」
星「お前がキングなのか?」
遊「そういえば、そうだったな」
ア「遊星は、キングの自覚がないものね」
ブ「そこが好かれるんじゃないかな?」
星「キングは…ジャック・アトラスじゃあ…」
ク「あいつの前で、元キングとか言うなよー?文句言われるぜ」
星「お前は、キングに勝ったのか?」
遊「あぁ、まあな」
星「俺は…まだ勝てていない…キングは絶対王者だ、俺には力が足りなかった…」
ブ「ジャックが、絶対王者?」
ク「……ぷっ、くくくくくっ…ジャックが…絶対王者…っ」
遊「クロウ、笑わなくても良いだろう」
ク「だってジャックがだぜ?」
星「何が可笑しい」
ブ「やっぱり、君が居た世界とは、違う世界じゃないかな…この世界は」
遊「そうだな、俺達の世界とお前の世界の人物像には、ズレがある」
ク「俺と遊星が幼馴染じゃないってとこ自体が考えられねぇよ」
星「それじゃあ…俺は…」
遊「何かが原因で、この世界に飛ばされてしまったんだな」
ア「一体どうしたらそんなことに……」
――バンッ
JA「クロウ!何だ朝っぱらから人を呼び出して!何かあったのか?」
ク「遅いんだよお前は!」
星「……ッ、キング!!」
JA「遊星ッ!今の俺はキングではないッ!何を寝ぼけたことを――っ」
遊「ジャック、俺はこっちだ」
JA「な、何故遊星が二人いる!!」
ク「そのことでお前を呼んだんだよ、ジャック」
星「何でキングがここに……ッ」
JA「だからっ、俺はキングではない!!」
遊「ジャック、とりあえず落ち着け」
JA「落ち着いていられるか!俺をキングと…一度ならず二度までも…!」
遊「良いからちょっと黙ってくれないか」
JA「………っ」
遊「ジャック、簡単に説明する。だがこれはあくまで仮説だ。真に受けるな。こいつは、別の世界の俺のようだ」
JA「……何?」
ク「どうやら、こいつの世界でのキングは、ジャックなんだってよ。それも、お前とは違って絶対王者らしいぜ」
JA「どういう意味だ!クロウ!」
遊「遊星、お前の世界でのジャックはどんな奴か知らないが、この世界のジャックは、もうキングじゃない」
JA「もう…キングじゃない…だと…っ」
遊「ジャックは、もうキングじゃない。今はただの、俺達の仲間だ」
星「ジャックが…仲間だと…?」
ア「じゃあ、貴方の世界のジャックは…?」
星「俺が知ってるジャックは…絶対王者と呼ばれている…非道で…自分より弱いデュエリストをクズだと言う…俺のことも、“サテライトのクズ”だと呼ぶ」
ブ「……かなり違うね」
ク「こっちのジャックは、働かねぇし遊星には勝てねぇし(精神的に)…元キングだし…」
JA「クロウ!貴様、言いたいことはそれだけか!!」
ク「じゃあもっと言ってやろうかぁー?」
遊「こっちのジャックはあんな感じだ。どうだ?違うか?」
星「あぁ…キングは、あんな目をしていない。いつも冷たい目をしている…」
遊「そうか…どことなく、ジャックに対して警戒心があると思ったが…。大丈夫だ、あのジャックに害はない。仲間思いの良い奴だ」
星「……、ジャック」
JA「なんだ!!」
星「動揺して、お前をキングと呼んでしまった。すまない」
JA「フン!分かったのならそれでいい!!で、お前も遊星と言うのか?」
星「あぁ。正真正銘、不動遊星だ」
JA「一応、見分けはつくな。遊星よりも身長が低い」
ク「ん?……あ、俺と変わらねぇな…」
ブ「嬉しそうだね」
ク「そ、そんなことねぇよ!!」
星「それじゃあ…俺はどうやって戻れば…」
遊「少しずつ調べて行くしかないな…。それまで、ここに居ると良い」
星「だが、良いのか?」
遊「俺と同じ顔していると、そのまま放っておけないしな。どうしても他人事とは思えない。構わないか?クロウ」
ク「遊星をもう一人面倒見るようなもんだろ?ジャックが一人増えるよりか、遥かに良いぜ」
JA「クロウ、喧嘩なら買うぞ…」
ク「働かねぇやつに喧嘩売ってられるかよ」
遊「ジャック、お前は?」
JA「好きにすれば良いだろう。お前が自由に決めろ」
遊「ブルーノは?」
ブ「僕も良いよ、数が多い方が楽しいだろうしね」
遊「反対する奴は誰も居ない。どうだ?」
星「……有難う、宜しく頼む…」
ア「遊星が二人いるって、本当不思議な感じ」
遊「俺もだ。変な感じがするな」
ク「ま、呼ぶのが大変そうだけどな」
JA「それはおいおい考えて行けばいい」
ブ「これで、少しはDホイールの調整も楽になりそうだね」
遊「本当だな。ゆっくりしていってくれ」
星「あぁ」
[ 17/211 ]
[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]