ーーーーーーーー ーーーーーーー ーーーーー ーーー 今から2、3年前… 火山では毎回誰かしらモンスターが消えるという事件があった。 そこは夜になるとモンスター達の音沙汰なく、ぐつぐつとマグマが立てる音や岩からシューと噴き出す溶岩の煙だけがひたすら主張していた。 「また、ひとり」 ぽつりと声一つ。どこか他人事で陽気な口調。 「今度は誰だ?」 はあ、とため息をつきながら呆れながら言う声がまた一つ。 「あれじゃないの?ほら、黒い蛇みたいなやつ」 「あれはカブラルって言うきちんとした名前があるんだぞ?」 「へぇ」 「…お前はもっとリアルな方に興味を持とうとか思わんのか」 さらにこれみよがしにため息。 「隊長、おれにはあちらの世界があるんすよ」 隊長、そう呼んだこいつは胸を張る。 「…俺にはお前がわからん」 会話を無理矢理切る。踵を返し歩き出すと後ろから「隊長ー!待って下さいよーっ!」と追い掛ける部下。 「次行くぞ。」 「あいあいさー」 暗闇の中2体の姿があった。白灰色のような色を纏う鎧竜と黄金色に輝く獅子がいた。彼ら二人はこの地を統治しているテスカトル達の近衛部隊である。 「隊長!おれ新人なのでもっとゆっくり…」 「ばかもの」 「環境を守る、それが俺達に与えられた役目さ」 「…ふぅん、またまた!手の掛かる仕事を回されたもんすね」 「…………」 無言の肯定。環境保護団体を統括しているグラビモスは黙り込んだ。事件とはいえ、人身問題は自分の仕事の範囲外だ。まったくだ、なんでこんな役目を背負わされないといけないのかさっぱりだ。 「隊長、今の話聞いてた?」 「……」 「……ブラコ…ぐぶぉぉっ!」 「聞こえている」 「…お、お腹に衝撃が…」 「ははっ」 新人であるラージャンは人懐っこい性格もあるのだが高い戦闘力において使えるだろうと王であるテオ・テスカトルが近衛部隊に推したのが始まりであった。グラビモス率いる組織と亜種グラビモスの組織の2隊に分けられている。 隊長であるグラビモスは「お前、強いなら亜種ん所行きゃよかったじゃないか」と怪訝な顔をしたが、ラージャンは「のんびり気楽でいたいんで」と本人とっての希望でグラビモスの環境保護団体側に入った。 「〜笑う事ないじゃないすか」 「え、なんかこいつウケるなー思って。」 「むー」 自分の腹を摩りながらラージャンは頬を膨らませた。 グラビモスは真面目に仕事をこなす。ラージャンは真剣な表情をする隊長、のんきで爽やかに笑う弟大好き(ブラコン)隊長が大好きだ。そのため、いつも隊長にくっついて行動していた。 「…なんもないな、証拠の一つや二つあってもいいだろうに。」 「隊長、おれ最近聞いた話では亜種さん側の組織でなんか起こしてるみたいな噂を耳にしましたよ」 「……ラージャン…」 「はい」 「…それを先に言えぇぇぇ!」 「えっ!?…え!?はい」 「今から奴らの所へ行く」 「あ、はい」 グラビモスとラージャンは方向転換すると急いで走りだした。 「隊長、鈍いっす。それが全速力ですか?」 「…お前と一緒にすんな」 「隊長、日が暮れちゃいますよ。」 「んなわけないだろっ!?」 ラージャンは軽快な足取りなのに関わらずグラビモスはドシンドシンと重々しい足取りが響いたのだった…。 「……なんで羽生えてるんだよ」 グラビモスは呟いた……。 ……………………… その頃、亜種側の組織のモンスターが嘲るように青い毛並みが揺れる凛々しく立っているモンスターと対話していた。 「クレイジースターに宜しく」 そう言ってはモンスター達は軽蔑するかのように嘲笑った。彼女はええ、よろしく伝えとくわ、と涼しい笑みを浮かべる。 彼女は踵を返すと警戒な足取りである目的地へと足を運んだ。 やっと更新したけど変な方向に話が進んでしまった;; 題目素材元:オレンジと月涙 << >> |