長編一瞬だけ | ナノ




違う日常




次の日もスパルタ土方さんのお陰で身体がギシギシいってる。


「今日は一段と厳しかったな…」


きっと総司が何かしたんだろうな。
あっちこっちについた痣が地味に痛い。


「そういえば」


昨日窓から顔を出していた女の子のことが頭から離れられなかった俺は、また会えないかな、なんて思っていた。


「ぁ、いた」


いた。
今日も顔を出していた。
昨日と同じ目をして。

俺と同い年かな?
どこを見ているんだ?


「あの」


身体が勝手に動いたとはこういうことなんだな、なんて冷静に考えてみたりもしたが、やっぱり自分の唐突な行動に焦りを隠せない。


「あ、えっと…俺、藤堂平助ってんだ!」

「……」

「い、いつもそこから顔出してるよな…?」

「…何か用?」

「え、いや、なんか勝手に身体が動いてさ…」


不審がるのは当たり前だよな…。
本当、何やってんだ…俺…。


「ふふっなにそれ…っ」

「ぇあ、」


笑、った…っ!
可愛いすぎんだろ!


「藤堂、くん?」

「あっその、そだ、それ!」

「え?」

「平助でいいよ!」

「平助、くん…?」

「そう!それでいい!」

「うん…私は、なまえ」

「なまえちゃんか!そういえばさ、年っていくつ?」

「高一…」

「同い年じゃん!じゃあなまえって呼ぶなっ!」

「なら、私は平助って呼ぶ!」

「おう!」


そのとき、「ただいまー」というお母さんの声がした。


「あっお母さん帰ってきたから閉めるね」

「わかった!また明日!」

「また明日」


窓が閉まってから急に顔に熱が集まって、よくここまで我慢できたもんだな…。
つか、喋っちまったよ…っ!

そのあと、どうやって家に帰ったかはよく覚えていない。

これがなまえとはじめて話した日のこと。








人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -