長編恋の解き方 | ナノ




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待ちきれない。

なまえが帰ってくる飛行機は午後の、しかも夕方辺り。今は正午。


「馬鹿かな…僕は」


苦笑が漏れる。
人が絶えない空港で、何かするわけでもなく。
ただ、ボーっとしていた。

この約1年半、なまえからの連絡は一週間前の今日帰国することぐらいで。
でも、不思議と不安になることはなかった。信じていたから。


「大丈夫、だよね…」


今更、不安が押し上げてきて。
ソワソワしてしまう。
実に僕らしくない。

落ち着かなきゃ。
と思うほど胸の鼓動は大きくなっていって。

どこか、お土産屋さんに入ってぶらぶらしようと思ったときだった。


「なまえ…」


目の前から愛しの想い人、なまえの姿を捕らえたのは。


『あ、れ…?総司…?』


到着は午後4時頃の筈だったのだが、チケットに不備があったようでお昼頃に着く便に乗った。

勿論、迎えはまだ来てないだろうと思ったし、(来るかどうかも不安だったが…)お土産屋さんでも見てようかなって足を運んだら。


『え…なん、で…夕方辺りに着くって…』

「待ちきれなかったんだよ」

『そっ総司ぃいぃいいいいいいい!!』


もう限界だ、と私の頭が言っている。私は総司不足で、人目気にせず総司に抱きついたら、そっと頭を撫でてくれた。
この優しさが大好き。


「相変わらずだね」

『会いたかったよぉおおお』

「僕も」


総司の優しい笑顔がとても懐かしい。
今日からこの笑顔は私のものだ、と思ったら涙が溢れて。


「なまえは泣き虫だね」

『総司大好きぃっ』

「知ってる」


それから。
彼方の学校ではこんなことがあったとか、こんな友達ができたとか、土産話をしながら久しぶりのマンションへと帰った。


「あ、そうだ」

『ん?』

「僕もここに住むから」


ポカーンとしてると思う。
だって、口と目が乾いてきたもん。


『ま、まじすか』

「何、嫌?」

『逆。嬉しすぎて吐きそう』

「ぷ…っ何それ!」


どうしよう。
この焦る感じも久しぶりで、うん。

色々とただいま!














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