長編恋の解き方 | ナノ




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長い夢を見ていたような気がする。


「なまえ…?」


どうやら私は長らく寝ていたようだ。
陽は傾いていて、辺りは暗くなりかけているし。

総司がキョトンとした顔で覗いている。
あ、その顔可愛い。


『今、何時…』

「4時半ぐらいかな」


高校生じゃなくなってから、約8年が過ぎた。
高校生活も色々あったけど、この8年間も色々あったな。

総司は剣道で上へ上へ行くし、挫折だって味わった。
千鶴と平助は幸せな新婚生活をしているし。
薫は警察官になりましたし、正直意外だった…。
左之ちゃんも土方先生も相変わらず教師やってる。
私はと言うと、イラストレーターになりました。

でも、いずれにしてもあの高校時代がなかったら、今の私たちはいなかったよ。


『あれから随分と経ったね』

「あれ?」

『高校』

「あぁ…あの頃は青かったね。僕も、なまえも」

『ほんと!馬鹿なことしたと思うよ!』

「おかげでなまえと一緒にいれてるし、よかったんじゃない?」

『うんっ!』


こんな会話ができるのも、今こんなに幸せなのも、あの頃の必死だった若き日のおかげで。

お礼を言いに行きたい。

この恋は複雑な、でも単純で、絡まり合った計算式だったけど、ちゃんと解けたよ。

だからね、今言えるのは、


『解くことを諦めないで』


こんなにも幸せになれるよ。


「なまえ?ベランダで何やってるの?」

『星にメッセージを託してた』

「誰にメッセージ?」

『あの時の私たち』

「ふーん…届くといいね」

『きっと届くよ』

「何で?」

『今があるから!』

「…あー…もう…可愛いなぁ」

『!!』

「好きだよ、なまえ」

『…わ、私も…だよ…っ!』


恋の解き方に不正解なんかないから。





恋の解き方



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