39長い夢を見ていたような気がする。 「なまえ…?」 どうやら私は長らく寝ていたようだ。 陽は傾いていて、辺りは暗くなりかけているし。 総司がキョトンとした顔で覗いている。 あ、その顔可愛い。 『今、何時…』 「4時半ぐらいかな」 高校生じゃなくなってから、約8年が過ぎた。 高校生活も色々あったけど、この8年間も色々あったな。 総司は剣道で上へ上へ行くし、挫折だって味わった。 千鶴と平助は幸せな新婚生活をしているし。 薫は警察官になりましたし、正直意外だった…。 左之ちゃんも土方先生も相変わらず教師やってる。 私はと言うと、イラストレーターになりました。 でも、いずれにしてもあの高校時代がなかったら、今の私たちはいなかったよ。 『あれから随分と経ったね』 「あれ?」 『高校』 「あぁ…あの頃は青かったね。僕も、なまえも」 『ほんと!馬鹿なことしたと思うよ!』 「おかげでなまえと一緒にいれてるし、よかったんじゃない?」 『うんっ!』 こんな会話ができるのも、今こんなに幸せなのも、あの頃の必死だった若き日のおかげで。 お礼を言いに行きたい。 この恋は複雑な、でも単純で、絡まり合った計算式だったけど、ちゃんと解けたよ。 だからね、今言えるのは、 『解くことを諦めないで』 こんなにも幸せになれるよ。 「なまえ?ベランダで何やってるの?」 『星にメッセージを託してた』 「誰にメッセージ?」 『あの時の私たち』 「ふーん…届くといいね」 『きっと届くよ』 「何で?」 『今があるから!』 「…あー…もう…可愛いなぁ」 『!!』 「好きだよ、なまえ」 『…わ、私も…だよ…っ!』 恋の解き方に不正解なんかないから。 恋の解き方 あとがき→ |