26「原田先生!よかった…見つかって…っ」 沖田と原田の緊迫した空気を若干和ませたのは、千鶴の声が聞こえたから。 ずっと探し回っていたであろう千鶴は息を切らしている。 後ろには南雲と藤堂もいて。 「原田先生!聞いてください!」 「お、おぅ…?どうした…?」 「なまえさんが街で喧嘩になった原因は私なんです…っ!」 この言葉に原田も沖田も時が止まったように固まった。 そして、追い討ちというように南雲は、なまえがハメられた証拠を持ってきたのだ。 「この…写真は…」 「ダメ元で探してたんだけどね。まさかあるとは思わなかった」 「それに…なまえさんは私たちを巻き込まない為に遠ざけてました」 沖田は未だ放心状態のままでいる。 唇を噛み、手は強く握られ、周りから見ても後悔しているのが一目瞭然だ。 「…俺、前聞いたよな。総司はなまえと付き合ってるのかって」 「……」 「総司はなまえの彼氏なんだろ?!」 「…別れたよ」 沖田の口から出た事実に、知っていた原田でさえ顔を歪める。 南雲は、利用されているとわかっていても付き合えることを喜んでいたなまえのことを思い出していた。 「沖田はさ、それでいいわけ?」 「なまえが決…「んなこたぁ誰も言ってねぇんだよっ」…!」 声を張り上げたのは、質問をした南雲ではなく、教師の原田だった。 まだ生徒がちらほら残っている廊下で声を張り上げたので、みんなが一斉にこちらを見る。 そんなことなどお構いなしに沖田へと言葉をぶつけた。 「お前は…っ!なまえのことをどう思ってるんだ?ただの友達か?それ以下か?」 「違う!僕は…なまえのことを…っ」 「ちゃんと想っているなら…本人に言え」 しばしの沈黙が人の間を駆け抜ける。 微かに射す夕陽は、雨があがったことを意味するもので。 「言葉にしなきゃ伝わらないこともあるんだ」 原田の言葉に、沖田は思い付いたように走る。 なまえの下へ。 → |