27夕陽は、雨があがったことを意味するもので。 「言葉にしなきゃ伝わらないこともあるんだ」 原田の言葉に、沖田は思い付いたように走る。 なまえの下へ。 →沖田が保健室へ行った頃にはなまえは家への道を歩く頃で。 保健室はもぬけの殻だった。 「なまえ…っ」 その姿を見ていたのはただ1人。 悔しい顔をして、ポケットから携帯を取り出す。 「えぇ…実行よ…知らないわ!早…ぁ…っ」 携帯を盗られた彼女は真っ青になって振り向いた。 後ろには原田をはじめ、南雲、雪村、藤堂、そして保健室から沖田も出てきて。 「君が主犯だったんだね」 沖田を本気で好いている彼女にとってこれほどの屈辱はないだろう。 しかし、沖田はそんなことどうでもよくて、 「なまえをどうする気?」 放つ殺気は人間のものじゃない、と誰もが思った。 言わなきゃ殺られる。 緊迫した空気は冗談じゃないことを語っているよう。 「あ…ひぃ…」 「ねぇ。なまえをどうする気なのって」 「総司…お前はまずなまえを追え」 「…そうするよ」 急いでなまえが通ったであろう道を辿る。 その姿を横目で見、彼女に目を戻し、 「とりあえず指導室に移動するか」 原田の案によって一同は指導室へ足を運んだ。 「なまえ…どこ行った…!」 僕は普段なまえが通る家への道を走っているんだけど。 見つからない。 その内、家まで着いてしまった。 電気が点いていないところを見ると、家にはいないのだろう。 その時、携帯が震える。 左之さんからのメールだ。 「…っ!!」 その事実に、なまえが背負っていた現実に、僕は悔やむしかできなくて。 本当に馬鹿だと、この怒りをどうすればいいのだろうか。 前に戻って、なまえに想いを伝えたい。 でも、戻るなんてこと不可能だから、だから今。 「伝えに行くよ」 → |