25目を覚ました先は保健室で。 薬品の臭いが妙に落ち着く。 『…ぅ…ん…?』 「お、目ぇ覚ましたか」 『左之…ちゃん…?』 目の前には左之ちゃんがいて、真剣な顔をしていて。 「なまえ…また喧嘩したか…?」 『うん』 「お前は…っ!」 怒鳴ろうとしたのだろう。 だが、止めたのはここが保健室だからか。 私が怪我人だからか。 「なまえ、泣いているのか…?」 左之ちゃんはさっきから質問ばっかだなぁとか呑気に考えていた筈なのに。 頬には生暖かい液体が通っていた。 『あれ?何でだろうね…おかしいなぁ』 止まらない、って笑ったら左之ちゃんが抱きしめてきた。 だが、ときめかないのは総司じゃないだからだろうな。 『左之ちゃん…?』 「もう、無理しなくていい…いいから…」 『左之ちゃ…私、どう…したら…そ、じを…っ裏切っ…!』 「大丈夫、大丈夫だから…」 『あの女が…私と関わりをもった人たちを傷つけるって、言われて…怖くて…』 私の周りからみんながいなくなることより、みんなが苦しむ顔を見る方が何倍も辛くて怖くて。 「なまえっ?!」 なまえはそのまま気を失ってしまった。 今回のことでどれだけなまえが傷ついたか。 原田は沖田の下へ歩みを進める。 勿論、今回のことはこいつも大いに関係しているから。 「総司!」 「あ、左之さんじゃないですか」 どうしたんです?と呑気な沖田に心底怒りを覚えた原田は行き場のない握り拳を壁にぶつける。 「ふざけんなよ…」 「…なまえのことですか」 「話しするって言ったよな」 「する前に別れを言われたんです。それ以上何もできませんよ」 「それ…本気で言ってんのか?」 「……」 「なまえがどんな思いで別れたと思っているんだ…!」 「じゃあっ!」 「!」 「なんで、それを僕じゃなくて…左之さんに言うんですか…」 沖田の顔は今までに見たことがないぐらい切なくて。 この2人のすれ違いは桁外れだ、と原田は冷や汗をかく。 → |