長編恋の解き方 | ナノ




24




「あんた自分から問題起こしたんだ」


そして、また囲まれているのである。

中々懲りないなぁ…とか思いながら。


『で、今度はなんですか』

「あんたがまだ壊れないから」


後ろからはいつぞやの夜に会った、昔私がこてんぱんにしたという男と仲間たちがいた。


「昔のように仲良くしよーぜ」

『え、やだ』

「てんめぇ…」


どうやら喧嘩を売っちゃったようで。
それを相手が買っちゃったようで。


「壊れるまで貴女を標的にするわ」

『……』


やれ、の合図と共に私目掛けてパンチが飛んでくる。
避けたり、避けたり避けたりしてたら、更に怒ってしまった。


「いい加減、真面目に…っ」

『してほしいの?』


そう言った私は戦闘体制に入り、向かってきた男を蹴り上げる。

それからと言うもの、多少手こずったが地に這い蹲る程度に動けなくした。


『会長さんさぁ…』

「!!」


陰に隠れて見ていた彼女は、突然話しかけられて驚いたのだろう。
肩がびくりと跳ねる。


『私を壊すとか言ってるけど…』

「な、何…っ」

『最初から私は壊れてるの』

「な、にを…」

『それもずっと昔からね』


昔から父に叩かれてきて、勉強しなければ怒られる、安易に口を開けば怒鳴られる。

そんな中、壊れずにいれただろうか。
否、それは無理だった。


『これで満足でしょ?だから私の周りには手を出さないで』

「貴女…っ…変だわ!」

『その変な奴に手を出したのは誰さ…』

「ば、化け物…!」


会長様は早足で逃げていった。
顔を見てわかったことは、もう手を出してはこないだろう。
相当怯えていたもの。


『はぁ…』


次第に天気は悪くなっていき、雨が降る。

雨は容赦なく私を濡らして、視界を霞ませた。


『ちょっと疲れたかも…』


私の意識はそこで途切れた。













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