長編恋の解き方 | ナノ




19




謹慎明けの学校は行きたくない。

行ったら、どんな罵声を浴びさせられるかわかるから。

空はどんよりと曇りで、まるで私の心の中のようだと思う。

そういえば、千鶴からメールきてたな。

薫は風紀の仕事で先に学校へ行き、千鶴は寝坊した平助の家まで行って起こしてから来ると言う。


『総司は、知らん』


そうなると、登校は1人だ。

学校に近づくにつれ、生徒の数は増えていき、私のことを知っている人も少なくない。


「みょうじなまえだ…」

「ほら2年の…」

「もう謹慎明けたの?」

「くんなっつの」

「昔ヤバかったんでしょ?」


聞きたくない声は容赦なく私の耳に届く。
平気な顔していなきゃ、奴らの思うつぼ。

学校の校門をくぐる前に、薫や一君と目が合ったが、反らされた。

あぁ、やっぱり駄目か。
私みたいな人は離れてしまうんだと。

今は何もしてないのに。

指導室へ行くと、土方先生が怖い顔して座っていた。

またお説教か、心の中でため息をつき、目の前の席に座る。


「3日間何してた」

『過去を思い出していました』


それからと言うものネチネチネチネチ色々言われたが、昔のことはお咎めなしらしい。

どうやらあの一件は知らないみたいだ。


「失礼します」


入ってきたのは例の会長様。
呼び出したのは先生だろう。


「ほら、相手も謝れば許してくれるって言ってんだ」


なんで何もやってない私が謝らなきゃいけないんだ。

しかし、謝れば丸く収まる。

心の中で葛藤を続けた結果、


『申し訳、ありません…でした』


プライドを捨てた。

指導室から出た私たちは、そのまま教室へと戻るはずだった。


「みょうじさん」

『何、ですか…』

「今から貴女に関わった人たち全員を、」


この女は、まだ、


「陥れるわ」


私を絶望へと追いやろうとするのか。


「覚悟しておいてね」


それは遠回りに学校を辞めろと言っている。

前を歩いていった会長様を睨み、ふと窓を見れば、


『総司…?…と…』


千鶴が、


『キス…?』


前で会長が笑っていることは誰も知らない。













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