長編恋の解き方 | ナノ




18




総司side

すごくショックだった。

何がショックだったかって、なまえが人を殴ったことよりも、僕を頼ってくれなかったことだ。

左之さんには喋るのに。

なまえの彼氏は僕でしょ?
なまえは僕のことが好きなんでしょ?


「じゃあ…なんで…」


独りで抱え込むの。
これじゃあの日から、初めてなまえと会ったあの日から進歩してない。

なまえの心は開かない。

悔しいけど一番なまえのことを知っている左之さんにも開いてないのだ。


「どうしたらいい…」

「総司か?どした?」


後ろから声をかけられた相手は、案の定左之さんだった。

左之さんは苦笑気味で、なまえのことか?と言う。


「何か知ってるの?」

「いや、詳しくは知らねぇが…あいつはお前の言うこと律儀に守ってきてたぜ」

「え、」

「“二度と人を殴らない”だろ」

「……」


聞けば、囲まれようが腹立とうが絶対に手は出さなかったらしい。

“囲まれる”なんてなまえは一言も喋ってなかった。
囲まれても殴られ続けた、その事実に物凄く泣きたくなった。

あんなに強くて、名の知れた彼女がただ殴られるだけだなんて、相手もさぞかし楽しかっただろう。

そういえば、謹慎処分を受けたとき、頬に湿布貼ってた。
それもそうなの?


「なまえはあの日からずっと信じてるやつは総司だけだ」

「僕、は…」

「明日、謹慎明けるからちゃんと話してみ?」

「…うん、そうします」


にっと笑って、僕の頭をぐしゃぐしゃにした左之さんは、満足したのか嬉しそうに帰って行った。

明日、なんて待ちきれない。
今すぐ会いたい。

なまえにメールを入れた後、家に向かった。
なまえの住んでるマンションに着くまでメールは受信されず、そしてインターホンを押しても出てこない。

寝ているのか、と思い残念だが帰ることにした。

部屋の中で、なまえがうずくまり泣いていることも知らずに。













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