長編恋の解き方 | ナノ




17




それからと言うものやることがなく、私の脳内では過去が繰り広げられていた。


『縁を切られた理由は…っと、これも騙されたからだ』


つくづく運のない奴だな、と苦笑する。

私が人を殺した、という噂が流れ始めたのは中3の頃。

勿論そんなことはなく、喧嘩もそんなにしなくなってきて、自分自身落ち着いてきたかなと思っていた時だった。


「お前にはがっかりだ!」


人殺しなんて噂が立つなど言語道断っ、という父は、私を蹴って殴って雨の中に放り投げる。


「この金はくれてやる!二度と帰ってくるな!」


行き場のない私はあの日、喧嘩するようになったきっかけのあの日のようにさまよい歩いた。

なんで私が?
人殺しなんてどこから聞いた?

行き場のない怒りがこみ上げてきて、


『あぁあああぁああぁああああああああ!!!!!!』


暴れまくった。

暴れた後に振り返ると、屍しか残ってなくて。

鉄臭い、独特の臭いが、鼻を掠める。


『これ…私が…』


総司と初めて会ったのはその時。

丁度、通り過ぎたところで目が合った。


「君…何してるの」


こいつも私を責めるのか。
なら消してしまおう。

構えた時だった。
彼の温もりの中にいたのは。


『何す…っ!』

「何をそんなに怯えてるの?」

『うるさい!離せ!』


彼の力は強くて、私が反応する前に抱きしめたといい、こいつは強いと感じたんだ。

逃げなきゃ。

頭の中は警報が鳴り響いて止まない。


「離さないよ。僕を信じてくれるまで」

『初対面だろ…?!なんでそこまで…っ』

「僕も昔そうだったから」


漸く離してくれて、でも目だけは離さずに。


「ほっとけないんだ」


翡翠色の強い瞳で言われた。

その後は、とりあえず総司の家に泊めてもらい、今のマンションが見つかるまでお世話になった。

そのとき立てた誓いが、


『“二度と人は殴らない”だったね…』


守ってきたよ。
囲まれても、腹立っても、手だけは出してないよ。

なんで伝わらなかったのか考えていたら、3日間なんてあっという間だった。













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