長編恋の解き方 | ナノ




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『謹慎なんて久しぶりだなぁ…』


だだっ広いこの部屋で、たった1人呟いた。

私が不良と呼ばれるきっかけとなったのはなんだったっけ?


『あぁ…中学受験失敗したからだ…』


遊べず、ただひたすら机に向かう日々。
合格さえすれば両親は誉めてくれると思っていた。

だが、結果は不合格。

私は父に散々怒られて家を飛び出した。

外は土砂降りの嵐。
しかし、追ってくるものは1人もいなくて。

なんでできなかったのだろう。
なんで父に反論できないのだろう。

頭の中は自分自身を責める言葉ばかり。

ろくに前も見えていなかったから、

ドンッ!

人にぶつかってしまった。


『その後、すぐ謝ったんだけど許してくれなかったな』


あろうことか金出せとまで言ってきて。
勿論、何も持たずに飛び出したから金など持ってるはずもない。

そうしたら、身体で払えなんて言ってくる。

逃げようとしたが、すぐに捕まってしまい駄目だ、と思ったとき。


『全身の血が逆流するみたいに』


力が出たのだ。

大の男に小学生のしかも女の子が適うはずなんてないのに。
私はその常識を意図も簡単にひっくり返してしまったのだ。

その日から喧嘩することに快感を覚え、毎夜のようにしていたら。
いつの間にか不良と呼ばれ、恐れられるようになってしまった。


『警察沙汰も何回かあったな』


一度喧嘩しだすと、相手が気を失うまで止まらなくなってしまう。

そのせいで、よく警察に厄介になってたりして。

そして、最後には、


『“お前なんか生まれてこなければ良かったのに”か』


父が口癖のように私に言っていた。

母と弟は、父が怖くて見て見ぬ振り。


『すっげぇ家族だったんだな』


今となっては二度と会うことなんてない。













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