16『謹慎なんて久しぶりだなぁ…』 だだっ広いこの部屋で、たった1人呟いた。 私が不良と呼ばれるきっかけとなったのはなんだったっけ? 『あぁ…中学受験失敗したからだ…』 遊べず、ただひたすら机に向かう日々。 合格さえすれば両親は誉めてくれると思っていた。 だが、結果は不合格。 私は父に散々怒られて家を飛び出した。 外は土砂降りの嵐。 しかし、追ってくるものは1人もいなくて。 なんでできなかったのだろう。 なんで父に反論できないのだろう。 頭の中は自分自身を責める言葉ばかり。 ろくに前も見えていなかったから、 ドンッ! 人にぶつかってしまった。 『その後、すぐ謝ったんだけど許してくれなかったな』 あろうことか金出せとまで言ってきて。 勿論、何も持たずに飛び出したから金など持ってるはずもない。 そうしたら、身体で払えなんて言ってくる。 逃げようとしたが、すぐに捕まってしまい駄目だ、と思ったとき。 『全身の血が逆流するみたいに』 力が出たのだ。 大の男に小学生のしかも女の子が適うはずなんてないのに。 私はその常識を意図も簡単にひっくり返してしまったのだ。 その日から喧嘩することに快感を覚え、毎夜のようにしていたら。 いつの間にか不良と呼ばれ、恐れられるようになってしまった。 『警察沙汰も何回かあったな』 一度喧嘩しだすと、相手が気を失うまで止まらなくなってしまう。 そのせいで、よく警察に厄介になってたりして。 そして、最後には、 『“お前なんか生まれてこなければ良かったのに”か』 父が口癖のように私に言っていた。 母と弟は、父が怖くて見て見ぬ振り。 『すっげぇ家族だったんだな』 今となっては二度と会うことなんてない。 → |