08幸いにも一時間目は自習で、先生にも会うことはなく、バレずに登校する事ができた。 『ふぃーよかったー』 ちらっと隣を見ると、総司と目があった。 瞬間、反らされた。 きっと偶々だろう、と気にもとめてなかったが。 『おかしい』 「ん?何がだ?」 『だって聞いてよ!左之ちゃん!一度や二度じゃなく目は反らされるし、話しても“あぁ”とか“そう”としか返さないんだよ?!』 「そりゃ…言っちゃあなんだが、避けられてるな」 『だよねええええっ!!!どうしよううううっ』 只今幼なじみで、尚且つ体育の教師でもある左之ちゃんに話しを聞いてもらっている。 ついでにここは体育準備室なので左之ちゃん以外立ち入り禁止。 私は例外だけど。 昔から面倒をみてくれていて。 でも、私がグレていた時は勉強の為に離れていた。 再開したときには親に勘当された後で。 左之ちゃんは謝ってきたけど、謝る理由がわからなかった。 それからも面倒をみてくれて、兄ちゃんみたいな大切な存在。 「なんで千鶴のこと好きだってわかってるのに総司を好きになったんだ?」 『やっぱり、“あれ”が原因だと思う』 「“あれ”か…」 この学校で総司と左之ちゃんと私しか知らない事実。 変に教師とかに知られたら、私は学校を辞めざるを得ないだろう。 『あの時、総司だけが私を信じてくれた…』 「側にいてやれなくてごめんな…」 左之ちゃんの言葉に私は何を言っているんだ、と焦る。 『いやっごめんねっ!左之ちゃんのせいじゃないし、自業自得だし!』 「……」 『……』 嫌な沈黙。 後悔しても時すでに遅しってやつで。 この沈黙を破ったのは左之ちゃんだった。 「ほら、これ食って元気だせ」 差し出されたのはミルク味のキャンディ。 飛びっきり甘いやつだ。 『左之ちゃん甘いの好きくないくせに…』 「いらないのか?」 『いります!ありがたく貰います!』 くすっと笑う左之ちゃんを見て、もしかして餌付けされた…?と思った。 → |