長編恋の解き方 | ナノ




03




「総司となまえってさぁ、付き合ってるんだよな?」


平助のちょっとした疑問によってこの場の空気が凍る。


「平助君何言ってるの?」

「だってさぁ千鶴。なんだか恋人って感じはしnげぶぅ!」


薫のアッパーが平助を貫く。
総司はニコニコとしているし、千鶴はオロオロしている。

キーンコーンカーンコーン…

丁度良いのか、チャイムがこれ以上詮索するなと言っているようで。


「戻ろうか」


元凶となる総司の声で、みんな各教室へと戻って行く。

総司の胸の中には千鶴なのか、なまえなのか。

真実は彼のみ知っていて。
他の誰にも知ることはできないのだ、と。

何も知らない彼女は今、


『ごめんなさあああい』


謝っていた。


「頭だけは良いのにな。お前」

『へ、』


あの土方先生が怒らない?
明日は槍が降る。
いや、絶対。


「一日中こき使うぞ」

『まじすいません』


じゃあ何故呼んだんだ?

土方先生は眉間にしわを寄せ、難しい顔をしている。
私はただ、頭にハテナを浮かべるしかなくて、土方先生が不意に口を開いた言葉に時が止まるしかなかった。


「総司とは、どうなんだ?」

『は?』

「総司と付き合ってんだろ」

『まぁ、いや、そうですけど』

「付き合ってる自信、ねぇのか?」

『そんなことないですよぅ!』


気持ち悪い口調と気持ち悪い笑顔で言うと、なんとも言えない顔で見てくる土方先生。

やめて、嫌な汗しかでてきませんから。

ってか本気で引くのやめろ…っ!


「ま…みょうじが幸せならそれでいい。ただ健全な付き合いをしろよ」

『わかってますってば!』


健全な付き合い以前な気がするが、気がするだけで胸にしまっておこう。
そういえば、と。


『チャイムってもう鳴ってますよね…?』

「あぁ、俺が先に言っておいた。どうせ今は新八の授業だろ?」

『どうせって…。でもありがとう!土方先生!』


あぁ。と言って笑う先生を見て、こりゃ人気だわな、と感じる今日この頃。












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