15え…? “好き”? 誰を?私を? 黒幕名前の好きな人は平助じゃないの? 「私はなまえちゃんのことが好きなの!なんで邪魔するかなぁ?!なまえちゃんと一緒にいたいのに!」 「なら、こんなまどろっこしいことしないで素直に言えばよかっただろ!」 どうやら戸惑っているのは平助たちも同じようで。 「だって!雪村千鶴や藤堂平助がなまえちゃんのこと独占してるじゃない!」 「!!」 目に涙をいっぱいに溜め、溜めきれなかった涙は重力に逆らうことなく落ちる。 黒幕名前のそんな姿を見ると、今までずっと辛かったんだろうなって、平助に、好きな人に近づけない苦しさは私だって知ってる。 絶対好きになってくれないと知っていても尚、好きであるもどかしさも。 これは、私が気がつかなければいけなかったんだ。 「これからずっと一緒だよ、なまえちゃん」 「何する気だ…!」 「決まってるでしょ。一緒に死ぬの」 死ぬ。 それで私は許されますか? 気づくことのできなかった罪は、死ぬことで償えますか? 「やめろ…っ」 「わかった」 「え…」 償えると言うなら。 「気づかなくて…ごめんね」 黒幕名前の顔を自らに近づけ、涙で潤った唇に自分の唇を重ねる。 「なまえ?!」 みんな驚いている。 当たり前か…。 以前の私は女の子にこんなことするなんて考えられないから。 「なまえちゃん…?」 「ははっ!黒幕名前まで何驚いてんの?」 「だって…」 本当にごめんね。 そして、 「これで黒幕名前の気がすむなら喜んで飛び降りるよ」 お父さんお母さん、 「なまえ?!何言って…っ」 先輩方や先生、 「なまえ!やめー…っ」 千鶴、薫、平助、 「ありがとう」 黒幕名前を平助たちの下に押し、その反動で身体は宙に浮いた。 あぁ、落ちるってこんな感じなんだ、なんて呑気に考えてみたりして。 あ、今気づいた。 「いい天気だな」 全てにさようなら。 |