研修医の夢

権力と金の為ならば、どんな嘘もつく
殺しも厭わない、そんな連中が首を揃えている。

おのおのルーツは違えど、様々な方法で
己の力を世に知らしめて来た人物だ。

だが、今日のこの集まりには護衛もつけずに来ていやがる。

互いの腹の探り合いなのか、それともお互いに信頼しているのか
どちらにせよ空気は重苦しくて、笑い声の一つも上がらない。


ジョーカーはその中でも異質。
事実上この蒼々たる顔ぶれの中でもナンバーワンの男。


こういう場所には一番遅れて入ってくる男だ。



「ドフラミンゴさん」

特注のサングラスの奥に潜む眼が、こちらに
向いているかどうかは伺い知れないものの、
静かな会議室に俺の声は響いた。

声を潜め、耳元に囁くとドフラミンゴ、その人も
身体をこちらへ乗り出す。

「人魚の骨は不老不死の薬になるらしい、生体から
培養できるか試したい。落札できますか」


言葉を終えた俺からゆっくりと離れた彼は何も言わなかった。


是でも非でも無い、そんな態度に
結局俺はこの話が纏まるのを黙って見届けるしかない
そう解釈した。



「まあ、別室で見てもらった通り優雅に泳ぐ人魚。
観賞用としてもその価値は計り知れん。国外の来賓なんかにゃ
もってこいだろ」

ちらりとハンコックを見やりながら、クロコダイルは
手元に置かれた資料をバラバラと捲りながら続けた。


「それに、人魚の涙。
噂通りの本物のアクアマリンだ。
鑑定書もある。北アフリカで取れるものよりも
遥かに価値が高い、それに採掘に掛ける費用もゼロ。
ここが一番の価値でもあるな」

今度は、コスプレか?とでも言いたげな表情で
大きな刀を携えたミホークに視線を投げる。


どうやらやる気のないモリアやクマは取引相手として眼中に
無いらしい。


「無論、これほど海洋調査船を出して初めての獲物だ。
もしかしたらこいつが、種の最後なのかもしれん。
環境保全派も、黙って見過ごす訳にはいかねェよな」


ジンベイのことか。
不満げにあっと口を開けたジンベイを制止するように
クロコダイルは人差し指をピンと上げて、自分がまだ
喋っていることを主張する。


「だが捕まえたのは俺、売るのも俺だ。
金を出した奴しか喋る権利はねェ。
500万ドルスタートだ」


とんでもないスピード、とんでもない価格で
せりが始まった。

落札する権利は6人にしかない。

500万ドル、ジョーカーなら楽勝か。

最も、興味があればの話だが。




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