トレジャーハント
「なるほど、そんな問題が……」
家に入れてもらうこともできず、ローはエントランスの階段に腰掛けたまま
ドフラミンゴをチラリと見て、また視線を夕日の彼方へと戻した。
内心は声を上げて笑いたいところではあったが
いつも周りの目を気にする性分もあって、我慢はお手の物だ。
「……別に、問題じゃあねェ」
「確かに、俺が手術した時点でもその辺の神経系は反応を示さなかった
まァ、アンタの言う人間としての生活には何の支障も無い。
大体、俺が退院を許す前に、連れて行っちまったからな」
幾分か肩を落とした様子のドフラミンゴににじり寄り、その顔を下から
覗きこみながら、ローは歪んだ笑顔を向けた。
「自業自得」
「るせー」
「ご不満なら、今から俺が買い取ってやってもいい」
「テメーに渡すくらいなら、俺が処分する」
「クククっ……なかなか気に入ってるようだな」
手の打ちようのない問題は尚かつ、いきり立って解決するべきでもない
問題だったことに、ローは何か悪巧み思いついたような顔で立ち上がった。
去ってゆく背中を見送りながら、ドフラミンゴはもう二度と
彼の姿を見るまいと、足早に家の中へと姿を消した。
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死人に口無し
殺害したとて、フィオナはクリスティーナを盲目に信じている節があった。
彼女の言っていたことが、理解できずにボーっとブティックの鏡の前で
下着姿で立ち尽くしていた。
「お、お客様...次は何をお持ちしましょうか?」
「ホラ!フィイオナ!!早くしないと会場に入れないわよぅ!」
「……」
トニー不在の今、フィオナには数人のガードが当てられ
専ら、目的はフィオナを守るというよりも、フィオナが問題を起こしても
力でねじ伏せる為、の屈強なガードたちであった。
その1人として、性別が行方不明のボンクレーな何かと便利が良く
いつもフィオナの世話に奔走していた。
「ボン、濡れるって何?」
「……は?」
「……なんだろう、涎のコトかなぁ」
訝しげにまるで学者様々の顔で、顎をさすりながら
考え込むフィオナに、ボンクレーは大きなため息をつくと
冷や汗をかきながら服を抱える店員を片手で追い払った。
「ミニのワンピース、色はピンク、バッグは黒のクラッチでいいわねっ」
「ん、うん」
「靴はこれ、はい次はサロン」
「はぁー、なんかめんどくさくなっちゃった。帰らない?」
「今まで5時間も今日の為の買い物して今さらナニ言ってんのよアホンダラぁ!」
「クビにするよ?」
「いや、今日はとてもキレイよフィオナ。
だからパーティー出て?ドフィの顔もあるし……お願い」
フィオナの眩しい笑顔に、周囲は戦慄しながら
過酷な毎日を送っていた。
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