The Roswell

「・・・ジンベイか。」
(なんじゃ、ゾロか。どうした、こんな時間に。)
「フィオナがまたやらかした。また警官ぶっとばしたんだよ!
でも・・・報道もねえし、追跡もすぐ止んだ。」
(・・・ああ。)
「ああじゃねーよ!ハンコックのとこでも面倒に巻き込まれて・・・」
(サンディエゴに行ったのか!そりゃまずい・・・)
「まずいも何も、薬抜かなきゃ連れてけねーだろ!」
(・・・ほんっとに、バカじゃのう。)
「ちっ、のんきに言ってんじゃねーよ。どうすんだよ・・・」
(ハンコックに何を支払った?)
「ロズウェル空港までの片道仕事、とはいえ・・・フィオナが請け負ったことになってるが。」
(お前の仕事を忘れるな、そのままマイアミへ向かえ。)


バッサリと切られた電話口を見つめたまま、ゾロはフィオナの待つ
車へと戻った。

ロズウェル市街地まで来ていたゾロご一行は、フィオナの優秀なナビ能力で
彼女が眠っている間にゾロが進路を間違えた多少のタイムロスはあったものの
無事に時間通りに空港へと向かっていた。


時刻午前六時

まだまだ冷たい空気の漂う真っ暗なロズウェル空港。

一台だけライトを付けて停まるその車が取引相手だと
ゾロは直感で感じ取り、その横に車を寄せた。

こちらに気づいたのか、その黒塗りのメルセデスからは
背の高い男が颯爽と車を降りてくるのが見えた。

「!!あっ・・・あいつか。」
「んー?またゾロの知り合い?」
「・・・ああ。」

車を止め、ウィンドウを開けると甘い香りのする煙が車内に入り込んだ。

「・・・ずいぶんいい車乗ってるじゃねェか。出世したなゾロ。」
「あんたも、ずいぶん変な仕事始めたようだな、クロコダイル。」

入り込んできた拳に、ゾロは嫌々ながら拳を突き合わせた。
その瞬間、拳は骨が軋む程に強く握られ、ゾロは無惨にも上半身を車外に
引きずり出された。

「荷物を、開けたのか?」
「・・・サツに目つけられたんだ、しかたねえだろ。」

胸ぐらを掴まれ、今度は全身が引きずり出され
ゾロはまるで子供のように足をばたつかせた。

「降ろせっ。」

クロコダイルは口端から煙を吐きながら、にやりと笑うと
ゾロを乱暴に降ろし、コートを翻しながらトランクを開けた。



ゾロは口を尖らせたまま、小走りでクロコダイルを追いかけ
トランクからあの死体の入った箱を引きずり出した。

当然ながら重量のあるその箱は一人で抱えるには無理があり、箱は音を立てて
地面に落ちた。

「チッ、あれほど荷物は丁寧に扱えと・・・」
「しかし、何だな。どえらい武器ばっか扱ってたあんたが死体?一体なんの商売なんだよ。」
「・・・死体?」
「アァ?中身知らねえ・・・訳ねえよな。」

二人の足下に佇む箱は、相も変わらず香しいバラの香りを漂わせる。
それを見つめたまま、二人はしばし言葉も交わさずに立ち尽くした。

箱が落ちた大きな音に反応したのか、フィオナもゆっくりと車から降りてきた。
うつむいたまま黙り込む男二人の異様な光景に、首を傾げながら、一緒に箱を見つめるも状況は全く把握できない。


「・・・殺っちまったのか。」
「…へ?イヤイヤイヤ、触ってねえよ!元からこいつ・・・。」
「・・・ゾロォ。俺はお前にこんな雑なシゴトを教えたかァ?」

クロコダイルは意を決したようにしゃがみこみ、箱を開け被されたシーツを引きはがした。

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