02

「こんなに寒いのに腹だして、馬鹿かよい。」

「お前も帽子とかかぶらなくていいのかよい
。」


思わず真似して返したけど、振り向かずともマルコの表情は
うかがい知れたので、これ以上イヤミは言うまいと心に誓った。


「お前の誕生日だろい、さっさと来い。」

「んーわりぃ、そんな気分じゃねえ。」

「お前、首いてーだろい。」

「はぁ?何言ってんの。」

「この2週間、ずっと上みてるよい。
やめとけ、あいつはまだ帰ってこねーよい。あいつは時間がかかる。」

「そんなのわかんねーだろ。」

仕返ししましたといわんばかりに、口元だけで笑ったマルコは踵を返し甲板へと戻っていった。




当たり前だ、オレの隊のダイジな妹なんだ

どうせまた変な声上げながら落ちて来るんだろ

誰かが受け止めなきゃ

・・・誰かが受け止めなきゃ

ふ、船に穴が・・・空くもんな。

そりゃ困る

そりゃ困るんだ!

決してオレが受け止めなきゃいけない訳では
ないけども、やっぱりオレが2番隊の隊長だからな、
誰かに任せるわけにはいかねェ。
ってゆうか、誰にも触らせねェ。
ブルーは、オレのダイジな・・・ダイジな・・・



「心の声がダダ漏れだよい、エース。」
「なあっ!!」

船室の裏に隠れていたマルコは
ゲラゲラと笑いながらフラフラとまた歩き出した。





冷たい空気が、やけに心地いい



酒や食いもんの匂いが船尾まで漂ってくる。


ずいぶん盛り上がってるみてぇだな。

だけど、動く気になれない。



なんか、腹が立つような気持ちと
叫びだしたい気持ちと
大笑いしたいような気持ちが

頭の中でバターになるまでぐるぐる走り回る感じがする

オレはどうかしちまったか?



「あ”−。」


思わず声を上げれば、クセでついつい空を見上げてしまう。





「エース!さっさと来いよ!もうすぐお前の誕生日だぞ!!」


サッチの声が、やたらと遠くから聞こえる気がした。


ガヤガヤと男達の野太い汚い声が大海原に響く。


「「「5!4!3!」」」


楽しそうだな・・・オレも何かしないと。


「「「2!1!」」」



船尾に置かれた砲弾を空に放り投げ、何発かの火銃を撃てば、即席の花火の出来上がりだ。


花火を見て大盛り上がりの甲板の声に、思わず笑みがこぼれた。



脳天にあの衝撃を受けるまでは。




[*prev] [next#]



←←←Dreams top




[ 2/3 ]




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -