03


「ィィィィィィイイイイイイイイイ!!!!」


「ブベラっ!!!」


「ただいまー!って、エースじゃん。親父じゃねえし。」






なんの前触れもなく、ブルーは現れ
そしてまた跳ねあがると甲板に跳んでいった。




状況が把握できない、というかもう頭の骨が割れるか
折れるかしたんじゃないかと思いながらも、
オレは待ち続けたブルーを追って甲板へと走った。






「グラララ、よく帰ってきたなブルー。少しはマシか。」

「花火が見えたから帰ってこれたよー、
わたしが帰ってくるからって花火打ち上げてくれるなんて
感動だよー親父ー!おーやーじー!」

「グララララ!エースに礼を言うんだなァ。
お前のために花火を上げたのはエースだ。」

「え?そうなの?」


ちげーけど・・・ちげーけど、違くない。


どうせマルコやサッチの流した噂話に、
親父も乗っかったんだろう。

ブルーは親父の手のひらに包まれたまま、幸せそうに笑い、
まるで2週間分のハグをしているようだった。



ハグ・・・ハグねえ。





恋敵が親父?




ブルーの帰還により、宴は異様なまでの
盛り上がりをみせていた。


オレの脳天に着地をキメた割には
ブルーはなんの言葉もかけてくれない。

気の抜けたオレのため息を、マルコは
見逃さずにゲラゲラと相変わらず嫌みくさく笑う。


「まあ、いっか。」



そう言いながら船室の壁にもたれて、上を見上げる。

ああ、ホントにくせになってんだ。
もう、あの子は目の前にいるのに。


手の届くそこにいるのに。


笑われてもしかたないか。



「また花火、あげてよ。」



唐突に耳元で聞こえた声に思わず飛び上がった。
親父の手のひらにすり寄ってたはずのブルーが、ぴったりとオレに身を寄せていた。



「そしたら、また帰って来れるから。」


「またって・・・、また行くのか?」

「まだまだなんだよ。全然、ダメ。」


口をヘの字に曲げて不満げな顔を見せるブルーを見て、
また待つ日々が続くのかとため息が出た。

また、上ばっかり見てお前を待つのか。

いやだよ。


「でも誕生日おめでとう。」

「・・・でも?」

「まだ誰も言ってないでしょ。」

「いや、そうだけどよ。・・・でもって。」

「じゃあ、超誕生日おめでとう。超大好き。」



なんつった、こいつ。



「大好き、エース。親父の次に。」


後半は聞こえなかった。
でも、心臓が物理的に燃えそうだ。
ブルー、待っててよかった。

「だから待っててね。エースがココにいて、
花火あげてくれたら、また帰ってこれるから。」




「厭だね。」





船室の壁の向こうから聞こえる家族の
大騒ぎがいいBGMだろう。


もう何処にも行かせねえ

もう花火は上げねえよ

オレと一緒にいればいいじゃねえか



誕生日プレゼント、いただきます。










ェ・・・。




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