01

[Name Change]


甲板が騒がしくなってきた。

新年は必ず家族で迎える、めでてえことだ。

年を跨ぐってだけでどんちゃん騒ぎ。

ついでに誕生日であるオレにとっても
その日は一日幸せなわけだ。

でも今日は、今は
その輪の中に入りたくない。

なんでかな

勝手に足が船尾を目指す。

遠巻きに家族の楽しそうな声をききながら

寒空の下で真っ黒な空を眺める。


そうか、オレは待ってんだ。


ブルーが帰って来るのを。









「ぅぅぅううううう!!!」


それは数週間前の早朝だった。

出所の知れない声が聞こえたと思いあたりを
見回すと、空からだんだんと声が近寄ってくる。

目を細め、よくみれば
それは落下してくるブルーだった。


「ぅうおやじぃいいいいいいい!!!!!」


ブルーは真っ直ぐに船長室めがけて落下していた。


「オヤジイイイイイイ!おはようのハグだよ!ハグして!ハグして!」

「ドアから入ってこいやぁあ!!!!」


親父のベッドの上の天井に穴を開けたブルーは
まっすぐその穴から轟音と共に空をめがけて飛んでいった。

キラーンって。



図鑑にも記されていない悪魔の実を食った彼女は、
その能力をコントロールできずにいた。

跳ねる


よく跳ねる


それだけだ、要は意思とは関係なく跳ね回る
ものだから、海に落ちるし船に無数の穴を空けるわけだ。

自分の隊の人間だから、面倒をみてやりたいのはヤマヤマだが、
そんな能力をもたれちゃあ、こっちも対処しようがない。

とはいえ、あいつも息子の1人

いや、娘か。


せっかく呪われたんだ、能力をモノにしたいだろう・・・が、
待てど暮らせどあいつは楽しそうな叫び声をあげながら跳んでいく。

時には船から飛び降りて、あさっての方向に跳んでく。
船が猛スピードで嵐を突っきってるときなんかは、あいつを回収するだけで一苦労。


最近は、マルコが滞空時の動き方を教えたりしているが、飲み込みの遅さったらない。
マルコもいい加減、諦めかけてるだろう。

そんな空気を察してか、あいつは能力の制御を身につける為に、
自力で船に戻れるまで船を下りると言い出した。

ま、完全に白ひげ海賊団を辞めるわけではないと、親父もオレも許したが。

結局はもう2週間近く帰ってきてない。





そもそもが無理な話だったと気付くべきだった。


ベッドに縛り付けてないと、あいつは寝返り打った拍子にどこかへ跳んでく。

食事中だって、風呂だって、トイレだって
あいつはだれかがそばにいないと、何も制御できないのに。
考えれば考えるほどに、オレの判断は間違ってたと思う。


考えれば考えるほど


不安になる



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