最上階
最上階の部屋は2部屋あるけど
そこはこの2週間貸し切りである
ときどき貴族も来るし、
あのヤクザみたいなのとか
何か、ヤケに派手なデカイ人とか
すげー陰湿な感じのおじさんとか
そういう人が泊まる
あれから数日のある日、私はまた夜勤なわけだが
平日にも関わらず、またたくさんの女性
たちが部屋に入って行ったのを私は目撃していた。
もう嫌な予感しかしなかった
内線・・・あの部屋・・・
「舞!内線鳴ってる!」
お局は自分で受話器を取ろうという気持ちにはならないのか・・・。
渋々受話器を上げると、ギャイギャイと騒がしい声が耳を揺らした。
「あのねえードンペリ!ドンペリドンペリ100本!」
バカっぽい女の声・・・まったく、私はこういうジョークが通じない女だから、ほいほいと・・・ほいほいと受け答える。
「お客様、誠に恐れ入りますが当ホテルは現在ドンペリニオンが100本もご用意ございませんでして、30本でしたらお持ちすることができますが・・・。」
「うっそーじゃ、30本持ってきてー!」
ガチャ・・・乱暴に切られた電話・・・。
「先輩、ドンペリ30本持って行くんですけど・・・手伝ってもらっていいですか?」
「は?台車で持って行けばいいじゃない・・・甘えんじゃないわよ。」
ぐっ、お前の血は何色だ・・・
あの部屋には、いぎたぐねえ
また笑われて惨めMAXのどん底に
突き落とされるぬらべっちゃ!
「せ・・・先輩、私あの部屋・・・行きたくないっす。」
「ああ?誰も行きたくないに決まってるでしょ!
王下七武海の部屋なんて、つべこべ
言ってないでサッサ動く!クレームになるわよ!」
お・・・王下七武海・・・。
そりゃ私こそ行きたくないよ・・・。
しかたなく、私はうんせうんせと
がに股でドンペリを箱ごと台車にのせ
落とさないようにグラスを上に乗せると
ゆっくり台車を押し進めた。
また来てしまった・・・最上階。
もう、甘いのか辛いのか
すげー匂いが廊下までぷんぷんする・・・。
ガヤもガヤでいいところ
女の声が響き渡る廊下で一人
ひたすら誰かがドアを開けてくれるまで私はドアベルを鳴らした。
色気も華もない私が惨めさを感じる瞬間。
背後のエレベーターが私を置いて帰ってしまった時
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