07




「で?どーしたんよ黒子。ただの世間話ってわけじゃなさそーだけど」

わかってる、黒子がなんのために俺を引き止めたかなんて。
緑間の名前を出したとき、俺の態度が変だったからっしょ?
こいつが観察眼に優れてるのは、俺だって知ってる。
黒子にオススメされて買ったバニラシェイクをすすりながら、黒子の言葉を待つ。
あぁ、確かに美味ぇかも。

「高尾くん、緑間くんと何があったんですか」
「…わーお、ストレートすぎんっしょ」
「茶化さないでください」

真面目な表情で、力強い瞳で見つめられる。
んだよ、そんなマジになんなって。

「たいしたことねーよ。緑間の3Pが入らなくなったのは知ってるだろ?そんで、あいつは部活に来なくなって、関わりがなくなった。ただ、そんだけ」

そう、ただそれだけのことなのだ。
ただ、それだけ。

「…知っての通り、最近緑間くんはずっとあの調子です。僕は、そのことに君のことが絡んでいると思っています」
「はあ、俺が?」

黒子の言っている意味がわからなかった。
だがそれは、3Pが入らないのはお前のせいだと言われているようにとってしまう。

「…俺は、身に覚えはねーよ」
「だけど−」

いつもとは違いやけに突っ込んでくるその言葉に、頭に血が上るのを感じる。

「だから、知らねえって言ってんだろ!?大体なんなんだよ、緑間のこと俺より知ってるんですってか?」
「高尾くん、」
「じゃあなんなんだよ!!大体お前らは中学のときの関係だろ。今は敵じゃねえか!!」
「落ち着いてください」
「ほんとなんなんだよ!お前も、キセキも、緑間も!!お前には火神がいんだろ!?俺には、俺には、あいつしか、」
「いい加減にしろ!!」

黒子が柄にもなく大きな声を上げる。
いつもの敬語もなくなって怒鳴る黒子に平静を取り戻し、まわりがこちらに注目しているのが見える。
…どうやら俺も、柄にもなく取り乱しちまったみたいだ。

「わりぃ、怒鳴っちまって…」
「いえ、こちらこそすいません」

座り直し、お互い水を口にして落ち着かせる。

「俺さ。中学の頃お前らとやったんだ。もちろん結果は惨敗だった…悔しかった。負けたこともだけど、お前らの眼中にまったくなかったことが」
「…。」
「別に、黒子のこと責めてるわけじゃねえよ?それは、もういいんだ。緑間と同じチームで戦って、認めさせてやるって思ってる。けど…俺から緑間を奪われたら、俺はもう…」

どうしようもないことを言っているのはわかってる。
そんなことを今更黒子に言ったって、意味がないことも。
それでも言わずにはいられなかった。
ズズ、とシェイクを啜る音が聞こえた。

「高尾くん、君が緑間くんを大切に思う気持ちはわかりました。確かに彼はいま秀徳高校のエースで、僕たち誠凛の倒すべき相手です。ですが、僕たちはかつてのチームメイトだったんです。みんな、心配していただけなんです」
「黒子…」
「それに、さっきも君が言った通り僕には火神くんがいる。他のみんなも、それぞれ自分の高校で新しいパートナーがいます。僕は確かに影だし、緑間くんは光だ。だけど…彼の影は、僕なんかでは務まらないですよ」

そう言って笑った黒子の顔に、心のモヤが少し晴れたような気がした。



15.03.26





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