06
次の日から俺は、緑間を忘れることに必死だった。
メアドもメール履歴も消した。帰り道も変えた。
でも緑間がくれた物や、一緒に撮った写真はどーしても捨てられなくて、チャリアカーのリアカー部分と一緒に倉庫に押し込んだ。
だけど、そんなことをしてみてもやっぱり俺の中から緑間が消えるわけがなくて。
なんと、無駄な努力をしているのかと自分が自分で嫌になる。
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片付けもそこそこに昨日の緑間と黒子の姿を思いだしながらも街をただフラフラと歩く。
あてもなく歩くこの街にも、やっぱりあいつの面影があって。
ああ、結局俺はあいつから逃れられないじゃないかと嫌気がさす。
ざわざわと多くの人が行き交う中で、3つのカラフルな頭が抜きん出て見えた。
間違いなく、あいつらだろう。
何故こんななんでもない休日にわざわざ、と思い、考えを改める。
ああそうか、あいつか。緑間のためか。
正直、この気持ちのまま会いたくなかった。
きっと一緒にいるであろう黒子にも見つからないようにと自慢の目を使って、あいつらの目の届かない場所を探した。
「高尾くん、」
…がしかし、一足遅かったようだ。
黒子たちキセキはすでに俺に気づいていたようで。
「あ、おう黒子…久々だなー。なに?キセキの会合かなんかあんの?」
普段通りに繕って、面識のある黒子に話しかける。
これがいつもだったら他のキセキにも挨拶してたんだろうけど…
いまは、ちょっと無理そうだ。
「あ?誰だコイツ」
「んー、知らなーい」
「あ、あれじゃないっスか?ほら、緑間っちの…」
あーもう、俺に興味持たなくていいのに。
そして出てきた、緑間というワード。
そして俺がアイツの相棒だとわかった途端、これから一緒に緑間っちの練習行こうとか言い出す始末。
あーもうまじ、やめてくれよ。
「わりー、俺今からバッシュ探しに行くからさ」
そうやんわりと断り、手を振ってさっそうと離れていく。
なんとかうまく撒けたようだ。
そう思ったのも束の間、後ろからグイと腕が引かれ、倒れそうになる。
後ろを振り向くと、そこにほ案の定黒子がいて。
「高尾くん、少しお話しませんか」
あちゃー、やっちまった。
どうやら人間観察に長けているらしい黒子には、俺の演技は通用しなかったようだ。
黒子はキセキ3人に少し何か言って、俺たち二人は近くのマジバへ入った。