04




俺と緑間の関係が断ち切れてから一ヶ月。
あれから、俺の生活は一変した。
登下校はもちろん、教室でも一緒にいた緑間との接点はなかった。
いつも一緒にいたと言ってもそのほとんどが俺の一方的なものだったため、俺が関わりに行かなければ必然的にそうなるのだ。
俺は元々フレンドリーな方だし、クラスで一人になることはなかった。
あいつもあいつで
一人の方が好きな奴だったし、特に困ることもなかったのだが。
そしてあいつは部活に来なくなった。
それは当然レギュラー落ちを意味していて、それはキセキの世代である緑間とて同じことだった。
代わりに2年のセンパイが入ってきたけど、なにか物足りなくて。
何をするにも絶対に俺の隣にはあいつがいたから、俺の生活からごっそりと何かが抜け落ちたみたいだ。

あいつといた頃は毎日が楽しかった。
我侭に振り回されてばっかりで、自己チューで、本当にどう仕様もない奴だったけど──それでもあいつは、俺の中心だったんだ。
あいつがいなくなったいま、俺の世界は灰色に染まっている。
いろも、何も感じられない。
ただ、周りに合わせてだらだらと生きるだけの生活─
食事の量や睡眠量も減っていった。


---


「─い、おい、おい高尾!」

バコン、と頭に軽い衝撃が走り、宮地サンの声が聞こえる。
あぁそうだ。いま、部活中だったんだっけ…

「高尾、お前顔色悪いぞ。大丈夫かよ?」
「ぇ、あぁ…はい、大丈夫っす」
「お前、今日はもう帰って寝とけ」

センパイたちも緑間がいなくなってからあまり笑わなくなったと思う。
表情が曇っていて、バスケやってる時も、誰かにパスしようとしてはバツが悪そうな顔をして…。
俺だって、そうだ。
ゲーム中だってパスしようとするときには緑間の名前を呼んでしまうし、今だって隣にいるような気がして、しゃべりかけてしまう。
みんな、頭ではわかってても染み付いてしまっているのだ、あいつの存在が。
あいつは、もうここにはいないというのに。


---


帰り道、嫌でも緑間のことを考えてしまう。
あいつは部活に来なくなって何をしているんだろう、とかバスケはやめちまったのか、とかまた前みたいに一緒にゲームできるのか、とか。
わかってる。それは、ありえないことだ。
あいつは3Pは打てなくなったとはいえ、その他のスキルでも格上だ。
おそらく、俺たち秀徳レギュラーの誰よりも、ずっと。
所詮凡人が努力したところで、天才には勝てるわけが無い。
そんな天才が、バスケをやめるはずなんてない。
いまも、きっとどこかで─俺たち以外の奴らと、キセキの奴らとバスケでもしているのだろうか。
胸が、苦しい。俺たち以外のチームで、俺以外の相棒とバスケをしている緑間の姿を思い浮かべぶるぶると頭を振る。
そんなの、考えたくもない。
唐突に、緑間に会いたくなった。






人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -