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プツリ、電子音が途切れた。
それが表すのは、高尾の拒絶なのか。
やっと気づくことができたこの気持ちも、本人に伝えられなければ意味がないのに。
全て、遅かったというのか…
本当、皮肉なものだ。

俺のこのやり場のない気持ちはどうすればいいのだろうか。
そう考えて、やっと自分勝手なことに気付く。
高尾が俺のことをどう思っているかわからないのに、自分のために気持ちを押し付けることなんてできない。
なんて、自分が拒絶されるのが怖いだけの癖に。
本当、つくづく自身が嫌になる。

昔からそうだった。
こういった恋愛ごとには人以上に疎く、無意識とはいえ人の気持を踏みにじってきた。
かと思えば誰かに好意を抱くと、自分の事でいっぱいいっぱいで周りが見えなくなる。
悪いくせだ。


−少し頭を冷やそう。
電話に出なかったのだって、寝ていたのかもしれない。
電話に出れない状況なだけだったかもしれない。
また、かけ直せばいいだけだ。
明日にだって、学校に行けば嫌でも会える。


キィイ、とフェンス扉の開く音が聞こえる。
赤司か、はたまたただのコート利用者か。
黒子、という線も捨てきれないな。
その人物はコツコツとこちらに歩を進める。
どうやらその人物は、自分に用があるようで。

「真ちゃん、」

聞きなれたその声に、まさかと顔を上げる。
そこには、今一番会いたい、俺の想い人の姿。

「高尾、」

一番、会いたかったはずなのに。
本人を前に、俺のからだは思うように動いてくれなかった。



15.04.13





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