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話も一段落して、二人外に出る。
あたりはもう真っ暗で、随分長いこと黒子と話していたことに気づいた。
「わりぃ黒子」
「いえ、僕は大丈夫です。高尾くん、バッシュは大丈夫ですか?」
「あー大丈夫大丈夫」
もともと今日は絶対にバッシュを買わなけれはならなかったわけではない。
それを分かってか否か。
それがいい訳だって黒子はきっとわかっているんだろう。
二人並び、一緒に近くの駅まで歩く。
こうして黒子と二人でいることがすごく新鮮だった。
俺のポケットから、軽快な着信音が鳴る。
だが、その着信メロディは特定の人からの着信を表していて。
俺はそれに出ずに、そのまま歩いた。
「…出ないんですか?」
そうやって聞く黒子は、それが誰からの着信かわかったんだろう。
無言になった俺に向いた。
「…彼は、高尾くんのことをいつも気にしていました。出会った時は必ず高尾くんの話をしていたし、そんなときの彼は、すごく楽しそうだった」
「…俺の?」
「ですが、彼と高尾くんが一緒にいるところを見なくなったあたりから、彼の気分はすこぶる悪いように見える…君のことが、気になっているんじゃないですか?」
あの緑間が、んなこと気にするなんて。
俺なんていなくても、あいつはほかの人のところで。
いつもどおり悪態をついたり、ツンデレしたりしてると思ってた。
けど…まさか
「…行ってあげてください、彼はまだストバスコートです」
その言葉に弾き出されたように、俺は走り出す。
「黒子、サンキューな」
走れ、走れ。
目指すはあいつの待つ、あのコートだ。
15.4.8