05




部屋を出たあと、俺はなぜか無性になまえに会いたい、と思った。
前のようになまえがいれた温かい茶を飲んで、おもしろくもねぇ話をして、それでも楽しそうに笑う。
そんな、なまえが見たくなった。

(最近は嫉妬していただけだったからな…)

確かに、俺はあいつを少々縛り付けすぎてあいつを苦しめていたかもしれない。
たまになら、許してやることにしようかとか考えながらも俺は、なまえの姿を探していた。


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足は、自然に向かっていた。
かつて、恋人とたくさんの時間を過ごしたあの場所へ。

だが、そこには先約がいたようで、人の声がした。
楽しそうに何かを話す女の声は、確かに俺がかつてそこで聞いていたあの声と同じもので。

(まさか、な…)

影から覗くと、そこには俺のよく知った二つの影。
可愛がっている部下と、俺の愛する女━━━が、キスをしていた。
俺の中で、何かが弾ける音がした。

━何故、声を聞かせた?
何故、頬を染める?
何故━拒絶しない?

俺は二人に背を向ける。
ガラガラと、何かが崩れる音がした。







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