03
「─というわけで、次の壁外遠征はこれで頼んだよ、リヴァイ」
ある日、エルヴィンに呼び出された。
壁外調査の作戦、という名目でだ。
だが俺はわかっているぞ。
それだけじゃ、ないいんだろう?
「で、エルヴィン。そろそろ本題に入ったらどうだ」
お前が俺をこんなところまで呼び出したのには、他に理由があるんだろう?
そう問えば、一瞬驚いたような顔をしたがすぐに笑ってみせた。
「はは、やはりリヴァイにはお見通しだったか」
敵わないなと少しおどけてみせた。
当たり前だ、何年お前と一緒にいると思っている。
エルヴィンの顔から笑顔が消えた。
真剣な時の顔だ。
「なまえは元気かい?」
ビクリ、と肩が揺れる。
何故、お前の口からその名が出てくるんだ、エルヴィン。
「いや、ね。最近少し怪我が多いみたいでね」
「…何が言いたい」
「リヴァイ、君は少し彼女に肩入れしすぎているんじゃないか?ほどほどにしないと…壊れてしまうぞ」
あぁ、またその話か。
つい先日ミケやハンジにも言われたことを思い出す。
…俺とあいつの付き合い方だ、ほっといてくれりゃあいい。
「…話はそれだけか?それなら、失礼する」
パタン、と後ろ手に扉を閉じた。
「なまえに肩入れしすぎるな」
最近よく聞く言葉。
あいつを気遣うハンジやエルヴィンにも腹が立ったが、誰よりも自分に腹が立った。
(んなこたぁ俺が一番わかってる…)