宇宙科の従兄弟


寮から校舎までの道のりを、宇海に腕を引っ張られる形で歩いていた。
別に保健室に行くのが嫌で駄々を捏ねてるわけじゃないよ。ここ重要!

「天海ちゃん、早くーっ!」
「入学式が始まるまで、まだ時間があるよ」

スカートのポケットに入れていた携帯を取り出して今の時間を確認する。
入学式が始まるまで、あと一時間弱もあるから大丈夫でしょ。

「あれ、あの子たち何してるんだろー?」
「どの子たち……あれま」
「まさか?」
「みたいだね」

ウチと宇海の視界に映ったのは、二人の男子生徒の姿だった。
どうして道の真ん中で握手してるんだろう? 最後に会ったのは何年前かな? と頭の片隅で思った。

「そこのお二人さーん、体育館だったらあっちだよー」

宇海は片手をメガホンみたいにして、もう片手で体育館がある場所を指差しながら言った。
はっ、としたように二人はこっちを見てきた。
声で誰だか分かったのか、一人は嬉しそうに笑い、もう一人はびっくりしたような顔だった。

「天海」
「ぬはは、宇海もいるぞー!」
「やっぱし、あずちゃんとつーくんだ!」
「二人とも久しぶりだね」

天羽翼と木ノ瀬梓。この二人はウチらの従兄弟。
二人はウチらの一つ年下で、小さい頃はよく遊んだりした。
両親が転勤族なせいで、二人に会うのはかれこれ十年ぶりなはず。
…それにしても、翼の身長伸び過ぎ。

「宇海? その呼び方は止めろって言った筈だけど?」
「どうして? 可愛いじゃーん」
「別に呼び方なんて何でもええと思うけど?」
「俺はつーくんでいいぞ!」

ウチらは十年ぶりの会話に花を咲かせていた。
そして気付けば入学式が始まるまで残り三十分を切っていた。

「翼、そろそろ行かないと」
「うぬ!また後でなー!」
「気を付けてね」
「ばいばーい!」





宇宙科の兄弟
「あずちゃんとつーくん、昔と変わってないね!」
「2人らしくていいんじゃない?」




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