ホームルームが終わり、教科書を鞄にしまう。部活を前に燃えている了平をみて微笑ましく帰り支度をしていると、校門で見慣れない制服を着た女の子がこそこそしているのが見えた。あれは確か緑中の……?うちの生徒と待ち合わせでもしているのだろう、あまり気にせず席を立った。


『この感じ、獄寺くんの時とデジャブ……』


何故か例の女の子はブツブツと何か独り言を呟きながら私をずっとつけてきている。後ろをちらりと覗いてみると、急いで電柱に隠れる女の子。私は軽く溜息をつくも、構わず神社へと向かった。


「はひ……ギリギリセーフでした。危うく見つかるところです!それにしてもツナさんとよく一緒に居るあの人、神社に何か用事でもあるんでしょうか?も、もしや罠?!」


奥に入り、巫女装束の常衣に着替えて箒を取りに出ていくと、まだ木の陰からこちらを伺っていた。着替えたことで目を輝かせている。


「す、ステキです……!」

『ありがとう。』

「はっ はひ!声に出ちゃいました!」

『別に制服のままでもいいんだけど、こっちの方が気が引き締まるんだ』

「そうなんですねー!……じゃなくて!!こ、こうなったら当たって砕けろです!あなたはツナさんとどんな関係なんですかぁ?!」


腕をぶんぶん振りながら必死に質問する女の子。なるほど、この子はツナの知り合いで、そのツナに好意的ということか。


『それでずっとつけてたんだね。うーん、私とツナは家族みたいなもので……赤ちゃんの時から知ってるし、つい何年か前まで一緒に住んでたの。だから弟のように思ってるというか』

「ツナさんのお姉様的存在ってことですか?!それは失礼しましたーっ!!」


勢いよく頭を下げる女の子に名前を聞くと、三浦ハルと名乗った。このあとツナの話を沢山したのだけどハルちゃんは本当にゾッコンのようで。掃除も手伝ってくれたし、とても良い子だ。


「じゃあハルはそろそろ帰りますね。お喋りできて楽しかったです!葵さん、シーユーアゲインですー!」

『私も楽しかったよ。暗くなってきたから気を付けてね!』


手を振って見送り、私も制服に着替えて神社のすぐ横にある墓地へ足を運んだ。通い慣れたお墓には神谷の文字。お線香を立てて手を合わせ、近況報告。


『最近のツナ、凄く楽しそうなんだよ。それに久しぶりに奈々さんのご飯を一緒に食べたり……。さっき仲良くなった元気いっぱいのハルちゃんに、無邪気で可愛らしい京子ちゃん……ふふっ、ツナも隅におけないよね』


返事は返ってこなくても聞いてくれているというのは分かる。話すことで私の中でも整理がついたところで、明日はリボーンくんを家にお誘いする事にした。

ちゃんと聞こう。お遊びじゃないであろう、"ボンゴレファミリー"の事を。






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